NTTコムウェアと日本アイ・ビー・エム(以下、日本IBM)は2月6日、データセンター運用における環境負荷低減を目的として、ICT(Information and Communication Technology:情報通信技術)機器ごとの消費電力と二酸化炭素排出量を可視化する実証の結果について公表した。また、データセンターの運用を高度化するソリューションを共創し、データセンター事業者への提案と提供することに合意した。

実証は2023年9月から11月に実施したもの。結果として、排出熱の温度から消費電力をAI(Artificial Intelligence:人工知能)で推定し、二酸化炭素排出量の算出が可能であることが確認できたという。

今回の実証の結果に基づいて、社会インフラのDX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組むNTTコムウェアと、国内外における設備管理のノウハウを持つ日本IBMは、AIを活用してデータセンター運用の高度化を支援する新たなソリューションの提供を開始するとのことだ。

実証実験の概要

実証はNTTコムウェアのデータセンターにおいて、データセンター利用者単位での電力消費量および二酸化炭素排出量可視化と、電力量予測モデルの検証のために実施した。データセンター内の複数サーバについて、サーバごとの排気熱の温度、消費電力量、CPU負荷を測定し、各値の相関関係と排気熱温度から消費電力量を推定するAIを作成した。

実証実験の結果、サーバごとの排気熱の温度、消費電力量、CPU負荷にはそれぞれ正の相関があることを確認。その関係性から、AIを活用することで排気熱の温度データから消費電力量を推定し、二酸化炭素排出量を算出可能であることを確認できた。

ソリューションの概要

今回両社が開発したソリューションは、日本IBMのソフトウェア「IBM Maximo Application Suite」によるICT機器構成管理のデータを活用して、NTTコムウェアが開発した排熱やCPU使用率から消費電力と二酸化炭素を推定するAIを搭載した「Smart Data Fusion」でデータを集約し「4DVIZ」ダッシュボードによりデジタルツインとして可視化する。

収集したデータからICT機器などに異常がみられた場合は、「IBM Maximo Application Suite」で現場作業員の対応開始から完了までの作業と履歴管理も可能だという。

ソリューション活用の際には、データセンター運営事業者は排熱量などのデータ測定の際に利用者のハードウェアおよびソフトウェア構成の変更が不要となるのため、運用中のサーバ機器にも容易に適用可能だ。

また、利用者環境にログイン調査することなく、利用者単位、サーバ単位での二酸化炭素排出量や機器異常の監視と管理を実現している。加えて、簡易な温度センサーの設置や、収集済みのCPU使用率などから消費電力と二酸化炭素排出量を低コストで算出可能。

データセンター利用者においても電力消費量や二酸化炭素排出量のデータが可視化されることで、具体的なグリーンICTの検討や負荷低減への取り組みの効果測定が可能となる。さらには、環境負荷へ配慮したハードウェアやソフトウェア製品の開発への応用も見込めるとのことだ。

  • ソリューション利用のイメージ

    ソリューション利用のイメージ