千代田化工建設とトヨタ自動車は2月5日、大規模水電解システムの共同開発および戦略的パートナーシップを構築していくことに合意し、協業基本合意書を締結したことを発表した。

  • トヨタの濱村芳彦氏と千代田化工の松岡憲正氏

    大規模水電解システムに関する協業基本合意書を締結したトヨタ 水素ファクトリー チーフプロジェクトリーダーの濱村芳彦氏(左)と千代田化工 常務執行役員の松岡憲正氏(右)(出所:トヨタ自動車)

両社は今回の協業により、トヨタが保有する燃料電池技術を用いた水電解セル・スタックの生産や量産技術と、千代田化工が持つプロセスプラント設計技術や大規模プラントの建造技術を融合することで、競争力のある大規模水電解システムを開発し、急激に拡大する国内水素製造市場に対応していくとする。

  • トヨタ製水電解スタック群による水電解装置

    高集積化されたトヨタ製水電解スタック群による水電解装置(出所:トヨタ自動車)

具体的な開発目標としては、世界最小レベルのサイズでありながら、水素の製造効率が高い水電解システムの開発を掲げているとのこと。水素の使用量や設置面積の制約など、顧客のさまざまなニーズに対応できるよう、5MW級を原単位(設置面積:2.5m×6m、水素製造能力:約100kg/時間)として開発し、それらを組み合わせて標準パッケージとすることで、大規模な水電解システムを構築するとしている。

トヨタによると、この装置は一般的な設備に比べて約半分の設置面積に収まり、メンテナンス性も確保しながら、輸送性や現地工事期間の短縮、土木・建築工事のコストダウン効果などのメリットがあるとのこと。同社が得意とする工業製品のノウハウと、千代田化工が得意とするプラントエンジニアリングの知見を融合し最適化することで、グリーン水素の生産に不可欠な水電解システムのコストダウン・生産効率アップ・品質安定化などを実現していくという。

  • 千代田化工による大規模水電解システム

    千代田化工によるスマート・スケーラブルエンジニアリングを活用した大規模水電解システム(出所:トヨタ自動車)

また今回の協業基本合意書の締結を踏まえた今後の取り組みとしては、2025年からトヨタ本社工場の水素パーク内にて水電解システムの導入を開始する予定。将来的には10MW級まで拡大して実証や開発に活用していくといい、その進捗などについては順次公開される見込みだ。

両社は、日本政府が策定した水素基本戦略における、国内外を対象とした水電解装置導入の政府目標の達成に貢献していくとしている。