インターネットイニシアティブ(IIJ)は2月5日、同社の金融機関向けFXプラットフォームである「IIJ Raptorサービス」において、コンテナ技術を利用する新システム基盤を提供開始した。なお新システム基盤は、ソニー銀行の為替取引サービスのプラットフォームとして2023年9月に稼働開始しているとのこと。

  • IIJ Raptorサービスの新基盤

新システム基盤の特徴

同基盤はコンテナ技術を採用したクラウド・ネイティブな構成により、従来に比べ拡張性、性能、セキュリティ機能などを向上させたとしており、近年流動性が高い状態にあるという為替市場においても安定して稼働できるシステムだという。

その特徴として同社は、クラウド・ネイティブ、性能の向上、セキュリティの強化の3点を挙げる。

クラウド・ネイティブに関しては、Kubernetesを中心としたコンテナ技術を採用した構成により、システム・リソースのオート・スケール(自動増減)が可能といい、相場の急変や取引の突然の活性化など市況に応じて、迅速に取引サーバをスケール・アウト(拡張)できるとしている。

また、環境を選ばず展開可能というコンテナ技術により、多様なクラウド環境にシステムをスピーディに展開できるため、メイン・システムに加えて外部クラウド上へのBCP(事業継続計画)環境の迅速な展開など、多様なニーズに対応可能とのこと。

性能の向上については、サーバおよびネットワーク性能の向上や、ロード・バランサ・コンテナやアプリケーション・コンテナのスケール・アウト構成により、数万人の投資家の同時利用や、秒間数万件規模の約定でも遅延の無い安定した取引が可能としている。

多様な市場の影響で為替の流動性が高まる中で、投資家にストレスのない安定した取引環境を提供するという。

セキュリティの強化に関しては、コンテナ・イメージに含めるソフトウェア・パッケージを必要最小限にすることや、コンテナの自動脆弱性スキャンなどで脆弱性のリスクを抑制すると共に、Webアプリケーションの脆弱性対策としてWAF(Web Application Firewall)の導入などにより、従来以上にセキュリティ機能を強化しているとのこと。

多様なセキュリティ機構の強化へ

今後もリスク・ベース認証への対応など、多様なセキュリティ機構の強化を実施していくとしている。

同社は今後も同サービスの安定運用と機能拡充、近年急成長しているという店頭CFD(差金決済取引)サービスへの対応などを行うと共に、新基盤への移行・拡販を推進していく。

また、10年以上にわたるFX(外国為替証拠金取引)や暗号資産取引システムの構築、運用を通じて蓄積したという知見を生かし、ユーザー企業の新たなビジネス創出を支援していくとのことだ。