米国の電子材料市場調査・コンサルティング会社であるTECHCETによると、半導体製造で使用される半導体材料(シリコンウェハ、前工程および後工程で使用される材料、製造装置の消耗部材)市場は、2023年に半導体市場の減速とシリコンウェハ生産量の減少により前年比3.3%減となったが、2024年は半導体市場の回復に伴い、同7%増の740億ドルになると予想されるという。
同社の予測によると、半導体材料市場は2023年から2027年にかけて年平均成長率(CAGR)5%以上で推移し、2027 年までに870億ドル以上に達することが期待されており、その要因としては、日本を含む世界各地で、新たに半導体ファブが立て続けに立ち上がることが挙げられるとしている。
また、同社では2024年には300mmウェハ、エピタキシャルウェハ、一部の特殊ガス、ならびに新ファブの増加に伴う銅合金ターゲットの供給逼迫が懸念されるとしており、そのひっ迫度合は材料供給業者の生産能力拡大の遅れに応じて変化するとしている。特に、この材料/化学物質の生産能力が半導体工場の拡張に追いつかない場合、需要の伸びがサプライチェーンに負担をかける可能性があり、同社では米国での高純度化学物質の需要を支えるためにいくつかの分野で輸入が必要となるとの予測を示している。
半導体材料市場は、世界的なファブの拡大に加えて、GAA-FETや3D DRAM、および500層超に向けた3D NANDに対する新材料や追加材料が必要になるため、そうした新技術が材料市場の成長を後押しすることが予想されている。これらの材料には、「エピタキシャルシリコン/SiGe用の特殊ガス」、「EUVフォトレジストと現像液」、「CVDおよびALD前駆体」、「CMP消耗品および洗浄薬品(高選択性窒化膜エッチングを含む)」などが含まれるという。
工場の生産能力が拡大するにつれて、その他の長期にわたるサプライチェーンの制約や潜在的な難題も問題を引き起こす可能性がある。例えば、中国と米国の間の地政学的な問題により、GeやGaのサプライチェーンに負担がかかり始めている一方、中国が大きなシェアを持つレアアースの供給制限のリスクが高まっている。
さらに米国におけるもう1つの懸念は、材料供給の拡大を制限する可能性がある輸入規制上の問題だという。規制をめぐる許認可を得るために時間とコストがかかる可能性があるとするほか、EHS(環境・衛生・安全)に関する政府の規制により、PFAS材料が使えなくなる可能性があり、材料サプライヤは開発と認定に時間がかかる代替品の開発を余儀なくされる可能性があるという。