高価格帯と低価格帯の双方が支持される二極化傾向に
「相次ぐ値上げで財布の紐はかたく、節約志向になっている反面、節約の反動でプチ贅沢のニーズが増加している。それに伴い、本格的な味へのニーズは高まっており、結果として、高価格帯の商品と低価格帯の商品の双方が支持される二極化傾向になっているのではないか」
こう語るのは、ファミリーマート商品本部デリカ食品部の栗原栄員氏。
ファミリーマートがお弁当の一部商品の値下げに踏み切った。とんかつやハンバーグなど、定番弁当を刷新。従来698円(税込)だった「とんかつ弁当」は678円に、668円だった「ハンバーグ弁当」は598円に変更するなど、500円台の商品も投入する。容器の変更による軽量化や容器を黒から白色に変更することでインクの使用量を削減するなどして、コストをカットした。
ロシアによるウクライナ侵攻の影響などもあって、この2年間、産業界では原材料高騰や物流コストの上昇による商品価格の値上げが相次いだ。コンビニ業界でも、おにぎりや弁当、淹れたてコーヒーなどの定番商品を相次ぎ値上げしている。
ただ、ローソンは昨秋から、物価上昇に対する節約意識の高まりへの対応策として、おにぎりや弁当の一部商品を4%から最大20%値下げ。昨年の春夏に600円以上の弁当が半分超を占めていた商品構成を、秋以降は500円台の商品が約半分になるような構成に変更した。
また、セブン&アイ・ホールディングス社長の井阪隆一氏も年頭挨拶で「諸商品の値上げは一段落するものと予測されますが、お客様の生活防衛意識はなお高まっており、さまざまな角度からお客様の変化を読み取ることが必要」と指摘する。
日本は今、デフレ脱却の正念場にある。マクロ的な観点から考えれば、物価上昇を価格転嫁し、賃上げにつなげ、消費を拡大する……という好循環を生み出すことが必要だが、物価高に賃金増が追い付かない現状では、消費者の財布の紐はかたいままだ。
消費者ニーズに合った価格体系をどう打ち出し、新たな需要を喚起していくか。今後もコンビニ各社の試行錯誤は続く。