パナソニック ホールディングス(HD)が2月2日に発表した2023年4~12月期の連結決算(国際会計基準)は純利益が前年同期比145%増の3992億円となり、同期における過去最高を更新した。これまでの同期における最高益は2013年度の2430億円だった。
為替の影響も大きかったが、車載電池事業に対する米国インフレ抑制法(IRA)に係る補助金の計上などが4~12月期の純利益を764億円押し上げた。IRAとは、米国における過度なインフレ抑制とエネルギー安全保障や気候変動対策の迅速な推進を目的に、米国でのエネルギー政策の産業振興を推進している企業に補助金を適用する法律のこと。
また、液晶パネル生産撤退に伴い解散した子会社の「パナソニック液晶ディスプレイ(PLD)」の債権放棄による法人所得税費用の減少があったことも増益に寄与した。
売上高は前年同期比1%増の6兆3003億円、営業利益は37%増の3203億円だった。特に自動車関連の製品や技術を開発・生産・販売するオートモーティブが好調だった。同事業の売上高は19%増の1兆1129億円と、自動車生産の回復が大きく増収となった。営業利益は379億円と、増産対応や人件費高騰による固定費増加や部材高騰の影響は受けたが、増販益に加え部材高騰分の価格改定や合理化を進めた結果、増益を達成した。
24年3月期通期の見通しについては、売上高が前期微増の8兆4000億円、営業利益が39%増の4000億円、純利益は73%増の4600億円と前回予想から据え置いた。車載電池のIRAの補助金は今期通期の純利益を1100億円押し上げる見通しだという。