2024年4月からトラックドライバーの時間外労働時間の上限規制が適用され、労働時間短縮による輸送能力が不足し「モノが運べなくなる」可能性が懸念されている「物流の2024年問題」だが、最も懸念されているのが「物流の停滞」だ。この問題がEC業界にとって大きな課題となっている。送料の値上げによる消費者の買い控えに加え、代引きを利用する消費者が配送業者にさらなる負担増を招くとの指摘もある。統合コマースプラットフォーム「ecforce」を提供するSUPER STUDIOの共同創業者の真野勉取締役CROと、後払い決済「atone(アトネ)」を提供するネットプロテクションズ(以下NP)のコンシューマーペイメントセールスグループ統括責任者の光安紀臣氏が対談を行い、「2024年問題」がECに与える影響とその解決手段として「atone(アトネ)」がどのように貢献できるのか話し合った。
──物流の2024年問題がECに与える影響について聞きたい。
真野:当社の顧客であるEC事業者から「2024年問題」について話題に上がることが多くなってきた。時間外労働時間の上限規制適用により労働力不足が加速し、2030年には約10億トンの宅配便が配送困難とも言われている。ECのビジネスモデルは、配送が重要な役割を果たしており、EC業界にも影響がある。
大手ECモールを中心に値上げ対応が相次いでおり、送料の値上げによる影響が懸念される。送料はEC事業者にとって原価コストとして大きな割合を占めるため、特に自社ECサイトを運営している事業者にとって負担は大きい。そのため、商品自体の価格・クオリティーは担保したまま内容量を減らしたり、まとめ買いの提案で発送回数を減らすなどコスト軽減を目的とした対策も始まっている。
また、送料が表示された際の離脱を防ぐために対策を進めているEC事業者も多く、注文の最終画面で送料が表示されたタイミングでカゴ落ちしないような対策のA/Bテストを開始しているEC事業者もいる。加えて、今後は送料をかけて届いた商品に対する付加価値を高める対応も必要になるだろう。
──NPでは課題解決に向けてどのような貢献ができるのか?
光安:最終的には消費者が一定のコスト負担を受け入れなければならないが、EC各社はまだまだ生産性を高める必要が出てくるだろう。
後払い決済企業の立場として、配送業者が商品を届け際に、商品と引き換えにお金を支払う「代引き決済」は配送員にとって大きな業務負担となっている。
コロナ禍に減少した再配達率が11~12%と増加傾向にあるが、「代引き」も要因の一つであると想定されるため、これが「後払い決済」などに置き換われば、再配達率の抑制と現金のやり取りもなくなり、業務負担の軽減にもつなげられる。
「atone(アトネ)」はいわゆる「後払い決済」であるため、置き配や非対面受け取りが可能となり、商品を受け取った後に現金で支払うことができる。
真野:代引きを利用するユーザーには、ECでの購入時にクレジットカード番号を入力したくないという人もいる。また、代引きを選択すれば、商品の到着を確認してから支払うことができるため一定数の利用者がいる一方で、代引きのためには対面配送が必須となるため、配送員への負担を考えるとポストインできる配送方法や後払い決済の導入など非対面で配送可能な代替手段を検討することも必要だ。
当社の取引先では、自社ECサイト開設当初から代引きを採用しない事業者もおり、代わりに「atone(アトネ)」を導入する事業者が増えてきた。いずれにしても、ユーザーのニーズが多様化するなかで、決済手段を複数持つということはさらに重要になるだろう。
──「代引き決済」から「atone(アトネ)」に切り替えた成功事例は?
光安:あるECでは、事業者にとっても「代引き決済」は受け取り拒否などによる返品が多発していたが、「atone(アトネ)」を導入したことにより、激減した事例がある。売り上げも上がり、配達効率向上にも貢献できた。
──「ecforce」でも「atone つど後払い」の連携を始める。
真野:当社の「ecforce」では、「NP後払い」や「atone(アトネ)」はすでに個別に連携しているが、今春から会員登録不要で携帯番号を用いたSMS認証で利用できる「atone つど後払い」についても連携を予定している。決済の際、「atone つど後払い」を選択するだけで購入できるため、代引きに近い体験を提供できる。
また、会員登録で利用が可能になる「atone翌月後払い」は、複数の買い物で発生したい代金をまとめて支払うことができるため、繰り返し利用のハードルを下げ、LTV向上に寄与することができる。
物流問題の解決に向けた一つの解決策として、再配達の抑制や配達効率の向上という観点において後払い決済という選択肢が有効になってきそうだ。
【統合コマースプラットフォーム「ecforce」サービス概要】
ecforceは、テクノロジーとデータを活用して”ビジネス全体”を最適化する統合コマースプラットフォーム。オンラインとオフラインのデータを統合管理し、ECビジネスの最適化に留まることなく、モノづくりのビジネス全体を最適化することを目指している。これによりオンラインとオフラインがシームレスにつながり、「コト、モノにかかわる全ての人々の顧客体験を最大化する」というSUPER STUDIOのミッションを実現する。
【後払い決済「atone(アトネ)」サービス概要】
「atone」は、通販・実店舗ともに使える後払い決済サービス。購入者は買い物をした後で代金を支払うことができ、銀行口座やクレジットカード情報の登録やチャージは不要で、すぐに利用可能。「カゴ落ち」を防止でき、売り上げロスの減少につながる。実店舗ではクレジットカードを使わない購入者を取りこぼすことなく、店舗のキャッシュレス化を推進できる。ポイントプログラムも導入し、新規獲得・リピート率向上や購買単価の向上にも貢献できる。