政府は、マイナンバー制度を巡る相次ぐトラブルを受けた総点検の結果を取りまとめた。新たに判明したひも付け誤りは8395件で、総点検とは別に判明したミスと合わせると計1万5951件となった。一方、岸田文雄首相は、2024年秋に現行の健康保険証を予定通り廃止し、マイナンバーカードと一体化した「マイナ保険証」に切り替える方針を表明した。
首相は「一度国民にマイナ保険証を使っていただき、メリットを感じてもらえるよう利用促進の取り組みを積極的に行う」と強調した。
総点検では判明したひも付け誤りは、健康保険証1142件▽共済年金119件▽公金受取口座1186件▽障害者手帳5689件▽生活保護情報22件▽所得・個人住民税情報4件─など。総点検とは別に確認されたミスも、健康保険証で7553件、労働者災害補償給付情報で3件あった。
総点検は、マイナカードの個人向けサイト「マイナポータル」で個人情報を閲覧できる事務を対象に実施。ひも付け方法が不適切だったとみられる332自治体と1労働基準監督署で、税や障害者手帳など21事務を点検した。これとは別に、デジタル庁などは公金受取口座など3事務で先行的に調査していた。
一方、総点検とは別にマイナ保険証の情報について、住民基本台帳と照合したところ、氏名や住所と一致しないケースが約139万件あった。漢字の間違いなどの可能性がある。このうち、推計で約450件が別人の情報とひも付けているとみられる。来春をめどに確認作業を終える予定だ。
また政府は、暗証番号の設定が不要な「顔認証マイナンバーカード」を導入した。マイナカード取得を巡り高齢者らから暗証番号の管理に不安があるとの声が出ていることを受けた対応で、健康保険証と本人確認書類としての利用に限定される。松本剛明総務相は「一人でも多くの人に安心してカードを取得し、利用してもらうための環境整備を着実に進める」と述べた。