Samsung Electronicsが1月31日、2023年第4四半期ならびに通年の事業別業績を発表した。
それによると半導体部門(Device Solutions:DS)の第4四半期売上高は21兆6900億ウォン、営業損失は2兆1800億ウォンとなり赤字が継続。ただし、四半期ごとの赤字幅は縮小傾向にあり、2024年第1四半期には黒字転換も期待できるという。
また、2023年通年の同部門の売上高は前年比32%減の66兆5900億ウォン。内訳としてはメモリが同36%減の44兆1300億ウォン、ファウンドリなどの非メモリが同25%減の22兆4600億ウォンとしている。また、2023年通年の営業損失は14兆8800億ウォンとなり、同社の半導体事業としては15年ぶりの赤字計上となった。
2023年第4四半期以降のメモリ市場
同四半期のメモリ事業は、高付加価値品の伸長によりビットの伸びが市場の伸びを上回り、DRAMとNANDの品薄感が増し、中でもDRAMは価格上昇もあり、利益を計上することができるようになったとする。
また、2024年第1四半期については、市場状況を注意深く監視する必要があるものの、PCとモバイルの需要回復は続くと予想され、サーバとストレージも需要回復の兆しがあるとしており、HBMや生成AIサーバ用SSD需要に対応を進めることで収益性の向上を図って行くとしている。
同社は2024年を通じて、メモリ市場はいくつかの懸念事項はあるものの回復が続くと予想しており、対応するためにDRAMでは次世代のHBM3Eの供給量を順次増やしていくとするほか、NANDについてはモバイルQLC市場に参入し、生成AIアプリケーション向けのPCIe Gen5 SSD市場をリードするなど顧客の需要に応えていくとしている。
2023年第4四半期以降のシステムLSI事業
2023年第4四半期のシステムLSI(非メモリ)事業は、在庫調整などもあり収益の改善が進んだとするほか、2024年第1四半期も、新しいSoCや高ピクセルイメージセンサの販売が好調に推移すると予想している一方で一部のSoCで需要が減退するほか、モバイルディスプレイドライバIC(DDI)などで収益が悪化する見込みであり、全体の収益改善は限定的なものになると予測している。
同事業の今後については、生成AIニーズを背景にSoC・センサ・LSIの競争力確保に向け、NPUの性能向上やAIモデルの軽量化などを図っていくとするほか、イメージセンサは、高画素化やDDIの拡販を図ることで成長を実現するとしている。
ファウンドリ事業については、マクロ経済の回復遅延の影響から第4四半期は減益となったが、通年では先端プロセスの需要の高まりから過去最高の受注残高を達成したとしており、2024年第1四半期には需要の改善が見えると予想している。また、すでにHBMと高度なパッケージングを含む2nm AIアクセラレータの注文も確保済みとしている。
なお、2023年の設備投資総額は53.1兆ウォンで、内訳としてDS部門に48.4兆ウォン、Samsung Display(SDC)に2.4兆ウォンとしている。第4四半期は16.4兆ウォンで、そのうち14.9兆ウォンがDS部門に割り当てられた。
メモリ関連では、韓国の平沢にある施設でのインフラ構築とHBM、DDR5、その他の先進的なノードの生産能力の拡大を進めたとするほか、ファウンドリ向けとしては5nm以下のEUVベースの生産能力と、テキサス州テイラーの同社工場のインフラ拡大を進めてきたという。