【財務省】能登半島地震で予備費倍増 実効性のある政策が問われる

政府は1月16日、能登半島地震の被災地支援強化に向けて2024年度予算の予備費を5000億円から1兆円に倍増することを決めた。

 被災地支援はスピード重視のため、予備費の充当は柔軟な対応が可能になる。ただ、23年度予備費約4600億円を活用するなど来年度予備費を倍増せずとも十分対応は可能との指摘もある。岸田文雄政権の支持率が低迷する中、被災地支援の財源確保は「首相のパフォーマンス」(自民中堅)と揶揄する声もくすぶる。1月中に策定する生活再建や生業支援のパッケージで実効性のある政策が打ち出せるかが注目される。

 16日の閣議後会見で鈴木俊一財務相は、パッケージに関し「インフラの復旧、仮設住宅の確保や中小企業、農林水産業の再建など幅広い内容を盛り込む」方向だと説明。激甚災害指定に伴う住宅ローンの減免措置など債務整理や事業者支援などにも着手していると強調した。

「能登以外になにかあれば、そのときに24年度予算を組み替えればいい。1兆円で支持率に貢献できるなら安い」(財務省幹部)という声も出ている。

 一方、日本経済のカギを握る為替動向を巡り、1月に始まった新たな少額投資非課税制度(新NISA)が円安を招いているとの見方に対し、19日の会見で鈴木氏は「新NISAだけに変動要因を求めるのは困難だ」と強調した。

 政府は資産運用立国を目指せば新NISAの運用で円安が進むことを容認せざるを得ない一方、円安で原材料費が高止まりすれば賃上げが物価高に追いつかないジレンマを抱える形だ。鈴木氏は機械的な答弁を繰り返すが、丁寧な説明が求められているのは言うまでもない。

『財界賞・経営者賞』贈呈式を開催!