ヒューレット・パッカード エンタープライズ(HPE)は1月30日(米国時間)、商用サーバであるHPE EdgelineおよびHPE ProLiantサーバーをベースに構成された宇宙向けスーパーコンピュータ(スパコン)「Spaceborne Computer-2(SBC-2)」の改良版が、SpaceXのFalcon 9ロケットに乗せられて、国際宇宙ステーション(ISS)に向けて打ち上げられたことを発表した。

今回のSBC-2の目的は、これまでの成功と実績を礎に、人工知能(AI)や機械学習(ML)のワークロードを含め、宇宙で実行可能なデータセンターレベルの処理やハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)が対応できる複雑さや範囲を拡大することだという。

改良として、キオクシア製の130TB超のフラッシュストレージが搭載された(構成は、960GBのValue SAS SSD「KIOXIA RMシリーズ」4台、1024GBのNVMe SSD「KIOXIA XGシリーズ」8台、30.72TBのEnterprise SAS SSD「KIOXIA PM6シリーズ」4台)ことで、ISS National Laboratoryを通じて新しい分野のアプリケーションを実行したり、より大きなデータセットを使用した研究を行ったりすることが可能になるという。また、ほかの改良として、OSの更新がなされ、NASA(米国航空宇宙局)宇宙飛行支援ソフトウェアの搭載や、新しいシステムセキュリティの適用などが行われたとのことで、ISS設置後は、これらテクノロジーの健全性と状態が毎日モニタリングされ、宇宙の過酷な条件下でのパフォーマンス検証が行なわれる予定としている。

また、ISS設置後に予定されている研究の1つとして、クラウドサービスプロバイダーが共同で実施・運用するクラウド上であらかじめ作成されたMLモデルと推論エンジンを個別にトレーニングする連合学習(Federated Learning)の実験が含まれており、この成果を地上で使用するMLトレーニングモデルに役立てたり、宇宙空間でAI推論エンジンを最新の状態に維持することを目指すとしている。

なおHPEでは、ISS National Laboratoryを通じて、Spaceborne Computer-2での実験に関するプロポーザルを公募するとしている。