TrendForceによると、2021年第4四半期以来8四半期にわたって続いてきたDRAM契約価格の下落は、2023年第4四半期に反転に転じたほか、NANDについても4四半期連続の下落から、2023年第3四半期に上昇に転じた。2024年もこれらのメモリ価格が上昇し続けるかについては、サプライヤ各社が製造ラインの稼働率を継続的かつ効果的に管理できるかどうかに関わってくると見られるとしている。
TrendForceの調査担当上席副社長であるAvril Wu氏によると、2024年第1四半期も価格は上昇基調となっており、例えばDRAMの契約価格は前四半期比で約13~18%の上昇、 NANDについても同18~23%の上昇見込みとしている。また、2024年第2四半期以降も市場需要については保守的な見通しとしつつも、一方でDRAMならびにNANDサプライヤ各社は2023年第4四半期末以降、稼働率を引き上げ始めており、NANDのバイヤーサイドは2024年第1四半期より在庫の拡充を進める動きを見せており、こうした稼働率の上昇と購買意欲の増加により、2024年第2四半期もDRAMならびにNANDの契約価格は同3~8%の上昇率となるものと予測している。
さらに、2024年第3四半期については季節的なピークシーズンとなることと、北米のCSP(クラウドサービスプロバイダ)が主要コンポーネントの補充をより積極的に進めることが予想されるため、DRAM/NANDの契約価格は上昇を継続。サプライヤがまだ稼働率に余力を持たせた状態を維持した場合(まだフル稼働していない場合)、前四半期比で8~13%ほどの上昇率となる可能性があり、中でもDRAMは、DDR5とHBMの普及率の上昇が全体の平均価格(ASP)を押し上げることとなり、それに伴って契約価格の上昇率がより高まる可能性があるとしている。
2024年第4四半期についても、サプライヤ各社が生産量をコントロールすることができれば、全体的に価格上昇傾向が続くことが予想され、結果としてDRAMの契約価格は同約8~13%ほどの上昇率と予想されるが、個別製品やDDR5など、製品によっては価格が下落する可能性もあるともしている。このことについてTrendForceでは、2024年のDRAM契約価格の全体的な上昇は、あらゆるタイプのDRAMチップで進むわけではなく、製品構成の変化を反映したものであることを意味しているとする。一方のNANDについては同0~5%ほどの上昇率となると予測している。