2024年1月31日から2月2日まで東京ビッグサイトで行われているオートメーションと計測の先端技術総合展「IIFES 2024」で、三菱電機は製造業現場に向け“設計・生産・保守・保全”に関するトータルソリューションの提案を行っている。
中でも注目を集めていたのは、新製品となる「MELSOFT VIXIO」。これは、専門知識がなくてもAIを活用できる外観検査ソフトウェアで、外観検査をより簡単かつ正確に行うことができるようになる製品だという。
従来、工場などでは人間の目視によって外観検査が行われてきていたが、近年は省人化などもありカメラを活用して自動化しようという動きも増えている。しかし、カメラによる検査では検査する製品によっては色味や材質、光の影などの細かな判断ができず誤った判断をしてしまうこともあるといった課題があったという。
そこで、開発されたのが高速・高精度のAIで、より人間に近い感覚で検査ができるようにしたAI外観検査ソリューション。こうした検査ソリューションを導入する際には、AIを育てていく学習フェーズで必要となる「開発ライセンス」と、開発したものを実際の現場で活用していく推論フェーズで必要となる「ランタイムライセンス」が必要となるが、いざ開発を進めようと思っても、もともと不良品となる画像データが少ないため、AIの精度が上がっていかなかったり、AIモデルの生成に時間がかかってしまい、実際に現場で活用するところまでには至らないなど、実現場への導入までにはさまざまな障壁があったとのこと。
そうした導入に向けた障壁を少しでもなくすために同社では、良品学習で良品の特徴を覚えさせることで、良品との違い、つまり「いつもと違う」部分を検出させる方式とすることで秒単位で判別できる高速モデルを生成させることに成功。この仕組みを活用することで、想定していない不良も検出が可能になるとする。
また、異常個所を学習させるという不良の特徴そのものを学習させることも可能で、不良品画像1枚からでもモデル生成でき、類似した不良であれば場所や大きさが違っても検出することも可能だという。
この仕組みを同社が構築できた背景には、同社自身も多くの機器開発を行っており、そうした現場においてAIの知見やノウハウを積み上げてきたからこそであり、そうしたこれまで積み上げてきたものを今回、FAへと応用することで実現できたとブース担当者は語っていた。
さらに、AIモデルは生成できても通常、システム化するには専用のプログラミングなどが必要であり、その点も導入の障壁となっていたが、同製品は構築における必要機能をプログラミングレスで実現。タスクについてはフローチャート形式で簡単に設定でき、モデル生成からモニタ画面の作成まで1ツールで設定できるとのことで、こうした導入の障壁となっていた課題を解決したことで、今後、より多くの製造現場で導入が進むのではないだろうかと期待をのぞかせていた。
なお同社ブースで展示されていたデモは複数あり、実際に検査対象物をコンベアに流し異常を判断するデモのほか、密着イメージセンサと掛け合わせたロールtoロールのAI外観検査のデモといったものも見ることができ、その学習の速さや推論の速さを実際に目の前で体感できるようになっていた。