韓国の最高裁判所 量刑委員会は国家核心技術(韓国政府が指定した、半導体やディスプレイ、電機電子、自動車、鉄鋼など13分野75項目のおよぶ最重要技術)を国外に流出させる犯罪に対する懲役刑を最大18年とする「知識財産・技術侵害犯罪量型基準修正案」を議決したことを明らかにした。

同委員会は、2月22日までこの量刑に関するパブリックコメントを募集するなど、所定の手続きを経た後、3月に最終的な量刑基準の議決を行うことにしている。この件に対する韓国国民の関心は高く、多くの韓国メディアが一斉に報じている。

量刑基準とは、裁判官が判決を下す際に参考にする一種のガイドラインである。裁判官は量刑基準から逸脱した判決を言い渡す場合は判決文にその理由を明記しなければならず、合理的な理由なしに量刑基準を逸脱することはできない。

国家核心技術を海外に流出させた犯罪に対して、新設された量刑基準によると、基本3~7年、加重5~12年で、被害甚大な場合は1.5倍の最大18年までの重い量刑を科すことが可能になる。現行法の産業技術の流出や営業機密の流出についての最高懲役期間もそれぞれ引き上げるとともに、減刑事由から「初犯」を除外して初犯に対する執行猶予付きの判決も減らす。また、流出の未遂行為については、設計図など被害物が完全に廃棄された場合にのみ減刑とするともしている。従来、営業秘密の海外流失はほとんどが初犯であるため、執行猶予付きの判決が多かったが、これを改めて初犯も容赦なく処罰する方向へと変更される。半導体企業だけではなく、取引先の社員や派遣職などを通した技術流出についても加重処罰(標準的な量刑より重い量刑)の対象に加えた点も注目される。

増加する重要技術の海外流出

韓国の国家情報院が摘発した技術流出件数は、2019年14件、2020年17件、2021年22件、2022年20件、2023年23件と年々増加傾向にある。最近5年間で流出した技術の内訳は半導体が38件で最も多く、ディスプレイ(16件)、自動車(9件)、バッテリー(7件)と続いている。韓国政府は法曹界とも連携して、増え続ける国家核心技術の海外への流出を防ぎたいとしている。

なお、最高裁量刑委員会は「技術侵害犯罪に対する厳正な量刑を望む国民的感情を反映して、類似犯罪の量刑基準より重い量刑範囲を提示した」としている。