Sansanは1月31日、インボイス管理サービス「Bill One」が、請求書関連業務に携わる1000人(経理部門:700人、経理以外の部門:300人)を対象に実施した「電子帳簿保存法に関する実態調査」の結果を公表した。電子帳簿保存法への対応率は8割以上で、経理担当者の1人当たりの業務時間は月4.5時間増加していることが明らかになった。
電子帳簿保存法の対応状況
請求書関連業務に携わる経理担当者700人に電子帳簿保存法の対応状況を尋ねると、対応している人は80.3%、対応していない人は19.7%。対応時期については、2023年から対応した人が54.4%と最多で、多くの企業が2023年12月末の宥恕期間終了より前に対応を進めていた。一方で、宥恕期間終了後の2024年から対応を開始した人も19.4%いた。
2023年以降に電子帳簿保存法に対応した人に、対応に伴う作業時間の増加について聞くと、経理部門では1人あたり月平均4.5時間、経理以外の部門では1人あたり月平均4.1時間ほど増え、全社的に業務が増加していることがわかった。
受け取る請求書の形式によって作業時間は異なり、最も作業時間が増えたのは「紙と電子が半々」、次に「やや紙の方が多い」ケースで、どちらも5時間以上増えていた。電子帳簿保存法では受け取る請求書が紙であるか電子であるかによって保存要件が異なり、紙と電子の請求書が混在する場合はそれぞれの要件に沿った方法で保存する必要があることから、作業時間が増えて担当者の負担になっているとSansanはみている。
電子帳簿保存法に対応していない理由とは?
続いて、宥恕期間終了後も電子帳簿保存法に対応していない企業にその理由を聞くと、「紙の請求書の受け取りが多く、電子保存は予定していない」が26.6%で最多。その理由を尋ねると「取引先の多くは紙対応だから(運輸・物流業)」など、取引先に合わせて紙で対応しているという声が複数あった。
また、「社員の高齢化により、慣れないPCの操作業務が制限されるため(建設・不動産)」「紙での保存が固定化されていてデジタル化への切り替えが難しいため(食品・小売・飲食業)」など、これまで長年行ってきた紙の請求書業務のフローを変更するのは難しいという声もあった。
電子帳簿保存法に対応しない要因となっている「紙の請求書の受け取りが多い」に関して、業界動向を調査すると、紙の受け取りが多い業界の第1位は「建設・不動産」、第2位は「運輸・物流」であった。また、「卸・商社」および「食品・小売・飲食」業界でも、半数以上の人が受領する請求書の過半数が紙であると回答し、いまだ多くの業界において紙文化が根強いことがわかった。
2024年問題をはじめ、労働時間の削減に注目が集まる中、今年はこれらの業界において生産性向上を目的としたDXが加速すると、Sansanは予想した。