大日本印刷(以下、DNP)は1月30日、相模原市教育委員会、ネットワンシステムズ、光村図書出版、放送大学学園らと共に、相模原市教育委員会におけるデジタル教科書を活用した共同研究事業の研究成果について発表した。

今回の共同研究の結果、デジタル教科書を活用した授業では、児童・生徒の主体的な活動時間と対話を行う活動時間が確保されたことが明らかになったという。児童・生徒の思考時間が増え、その考えを可視化することで意見交流活動の活性化にもつながったようだ。

デジタル教科書を使用した研究事業の手法

今回の共同研究の目的は、デジタル教科書や授業支援ツールなどを用いた授業を行い、教員の授業および指導方法を開発し、評価改善を進めることだ。加えて、収集した学習履歴データの活用や、児童・生徒が主体的に学習に取り組む態度の育成にもつなげる狙いがあったという。

実証授業前には教員と研究メンバーが指導案を検討し、児童・生徒の主体的な活動時間や対話を行う活動時間の確保を意識した案を作成している。学習活動では、学習者用のデジタル教科書に書き込んだ内容や「マイ黒板」によって可視化した考えを基に、話し合いを実施。紙のワークシートの運用やノートを取る負担を軽減し、児童・生徒の思考する時間を確保した。

中学校の生徒を対象として、自分の学びを客観的に振り返るための「振り返りシート」を作成し記入。このツールを活用して、毎時間の授業の内容を自分自身や他の生徒の言葉で記録し、単元の最後に授業全体の振り返りを行った。今後さらに継続的に記録を蓄積することで、生徒の学習内容を分析可能になるという。

研究成果

共同研究の成果として、デジタル教科書を活用した授業では児童・生徒の主体的な活動時間と対話の時間を確保できたとのことだ。黒板の内容をノートに書き取る時間が減ることで、授業中の児童生徒の思考時間が増えている。これにより、考えをデジタル教科書や授業支援ツールで整理する時間も生まれ、互いの意見を交流させる活動の活性化につながっている。

デジタル教科書や「マイ黒板」への書き込みがデジタルデータとして残ることで、個人の学びの過程を可視化できるようになった。この書き込みや「振り返りシート」を学習成果物と捉えてデータとして蓄積し可視化することで、児童・生徒が自ら学習を分析し自己調整する能力の育成にもつなげたという。