【2024年の景気、株価、国際情勢をにらんで 経済リーダー41人が白熱議論】オリエンタルランド取締役会議長・加賀見俊夫

パーク全体で非日常的な空間をつくっていく

 ─ コロナ禍でも心の癒しを提供してきたオリエンタルランド取締役会議長の加賀見俊夫さん、23年は東京ディズニーリゾートの開業40周年でしたね。

 加賀見 これまではよりたくさんのゲストにお越しいただけるよう、新規施設の導入や季節ごとのスペシャルイベントなどを実施していました。

 今後は、多様化するゲストのニーズに柔軟に対応し、かつ、お越しいただいたゲストが快適に過ごしていただけるよう、新規施策を積極的に展開することで、体験価値の向上を目指していきたいと考えています。ゲストのニーズや考え方が毎年のように変わっていますので、それに合わせたものをどう提供するかということですね。

 ─ 24年6月には新エリア『ファンタジースプリングス』もオープンするんですね。

 加賀見 ええ。われわれが新しいものをつくる時には、数年先を見据えて考えています。東京ディズニーシー8番目のテーマポートとなるこのファンタジースプリングスは、14年から構想を開始していました。01年の東京ディズニーシーオープン以来最大の約3200億円をかけた投資で、体験いただいたゲストは必ずご満足していただけるのではないかと思っています。

 これまではアトラクションを楽しみたいという方が多かったのですが、今はゲストが参加して楽しむ方向へ変わってきています。例えば、パレードでも、一緒にダンスを踊ったり、参加したりすることによって、家族や友人と共通の体験をし、思い出をつくる方向に持っていきたいと思っています。

 ─ 日本のこういったエンターテイメントの力は、世界に誇れると言っていいですか。

 加賀見 それは十分あると思います。世界のディズニーテーマパークの中でも、東京ディズニーリゾートはディズニーブランドが意味するものを象徴している、とお認めいただいております。世界でここでしか体験できないオンリーワンのテーマリゾートとして、訪れるゲストに新しい体験を提供していきたいと考えています。

 ─ 今後は、千葉・浦安以外でも第二のリゾートを国内でつくる考えはありますか。

 加賀見 具体的には何も動いていませんが、東京ディズニーリゾートが位置する浦安は立地条件が非常に良いです。首都圏の1千万人を超える人口を近隣に抱えているのは大きいと思います。都心からのアクセスも良好で、埋め立て地という非日常空間を作りやすいこの立地は、世界中を見渡しても非常に少ない好条件であり、ディズニーランド誘致の決め手となりました。この土地の可能性はまだまだ大きいと思っています。