大林組は1月29日、施工の自動化によるさらなる生産性向上を推進するため、耐火被覆吹付けロボットの新型機(2号機)を開発したと発表した。2023年11月から都内の建設現場への適用を開始し、2023年度内に新型機による施工面積が延べ9000平方メートルを超える予定という。

  • 耐火被覆吹付けロボット新型機(2号機)

建設現場の省人化へ

同社は2019年に耐火被覆吹付けロボット(初号機)を開発し、中高層オフィスビルを中心に複数の建設現場で使用しているとのこと。

耐火被覆吹付けロボットの、安定した施工品質(施工管理基準値を満たす被覆厚さおよび比重)を担保した上での施工歩掛り(1日あたりの吹付け面積)は、吹付け技能工による作業と概ね同程度といい、導入による省人化は、施工技能者不足を解決する一助になっているという。

一方、使用を重ねる中で、さらなる生産性や品質の向上に向けた小型化・軽量化へのニーズや、吹付け箇所の位置合わせに要する手間、ロボットと鉄骨梁との相対誤差の把握など、いくつかの課題が出てきた。

今回開発した新型機(2号機)は機能改良を加え、それらの課題を解決したとしている。その機能改良点として同社は、自律移動機能の向上および、小型化・軽量化の2点を挙げる。

  • ロボット前端部(黄枠内が計測ユニット)

自律移動機能の向上、小型化・軽量化

自律移動機能の向上に関して、耐火被覆吹付けロボットは、予め登録した作業データに従って現場施工エリア内を走行し、所定の吹付け位置に停止して作業を開始する自律移動機能を搭載しているという。

新型機(2号機)では、位置決め時の測位法に測量で利用している後方交会法の採用によって、より正確な自律移動を実現したとのこと。

  • 初号機と新型機の比較

小型化・軽量化については、既存の耐火被覆吹付けロボットと同様の作業性能を保ちながら、横幅500㎜、重量500㎏の小型化・軽量化を実現したという。

これにより、現場施工エリア内での操作性が改善し、仮設エレベーターを用いた運搬作業などがスムーズになるとしている。

2024年4月には、吹付け対象の鉄骨梁をセンシングしロボットと鉄骨梁の相対誤差を把握して吹付け作業を行う相対誤差把握機能を追加搭載する予定だ。

同社は今後も耐火被覆吹付けロボットの施工実績を積み重ねながら、継続的に開発を進め、将来的には同社以外にも同ロボットを広く普及させることで、生産性向上と省人化を図り、持続的な建設産業の実現に向けた課題解決に貢献するとしている。