KDDIとKDDIエンジニアリングは1月29日、コスモシステムと共同開発したGFRP(ガラス繊維強化プラスチック)製の携帯電話基地局のアンテナ支持柱を本格導入することを発表した。同製品は従来の鋼製支持柱と比較して重量を約4割削減しているという。

軽量のアンテナで5Gエリアの展開を迅速化

今回開発したGFRP製の支持柱は軽量設計のため、鋼製支持柱の設置に必要だったクレーンを必要とせず、人力のみで搬入と建柱が可能だという。工事の作業効率向上が見込めるほか、クレーン設置場所の道路使用許可申請やビル屋上への荷揚げの安全管理も不要となる。これにより、基地局の建設期間を短縮でき5G(第5世代移動通信システム)エリアの早期展開に貢献するとのことだ。

支持柱の管はガラス繊維を特殊な角度で巻き付けるフィラメントワインディング法で製作し強度を向上させている。暴風や東日本大震災級の地震にも耐えられる耐久性を持つとのことだ。GFRPは耐食性にも優れ、さびによる劣化の懸念がなく長期間の使用も可能。

  • GFRP製の支持柱を利用した携帯電話基地局のアンテナ

    GFRP製の支持柱を利用した携帯電話基地局のアンテナ

  • 左:鋼製、右:GFRP製

    左:鋼製、右:GFRP製

軽量のアンテナ支持柱が求められる

携帯電話基地局の建設においては、少子高齢化による労働力不足や工事作業の負担が大きな課題となっている。その一方で通信量の増大に伴って基地局設備も増加し続け、設置場所への負荷軽減などの観点から設備の軽量化が求められる。また、集中豪雨や大規模台風、地震などの自然災害も懸念が高まっており、災害時にも通信が維持できる丈夫で頑丈なインフラ設備が必要とされる。

  • GFRP製の支持柱を搬入する様子

    GFRP製の支持柱を搬入する様子