歌舞伎を進化させインバウンドを積極的に取り組んでいく
─ 歌舞伎・映画を中心に日本の文化を支えている松竹社長の髙橋敏弘さんにお聞きします。世界的に戦争、対立などがある中で、日本の文化をどう世界に訴えていきますか。
髙橋 24年はグローバルに向けて色々仕掛けていきたいと思っています。
コロナの3年間は、舞台が休演になってしまい団体客の減少で厳しい状態が続きましたが、コアなファンの方に支えられて順調に回復してきている状況です。
24年度の黒字化を目指せるとは思っていますが、今後はやはりインバウンドを取り込む施策をしていかなければいけないというのが一番です。
─ インバウンドのお客様はかなり歌舞伎に来ていますか。
髙橋 ええ。お客様を見てると外国のお客様が結構増えてきたという印象です。
今後多言語のニーズが高まると思うので、言語ガイドにAIを駆使して色々な国のお客様に母国語で聴いてもらえるような形にしていきたいと思っています。
コロナによってネット化が進んで、世界中の人に配信で歌舞伎を届けることができるようになったなどプラスの面も多くあります。
今後はゲーム制作会社や、アパレルの企業とも組むなど、敢えて舞台以外の側面からもアプローチし、歌舞伎自体を広めていきたいと思っています。
─ 色々な形でのビジネス発展ができそうですね。
髙橋 そうですね。江戸時代から400年以上続いている歌舞伎は、その時代に合わせて新しいものを取り入れて、進化し続けているから、これだけ今も残っていると思っているので、今後も古典を大切にしながら革新を続けていくつもりです。
今でしたらアニメ原作のものを歌舞伎化した『ワンピース』『NARUTO─ナルト─』のような、海外の方や若い人たちにも受け入れられやすい演目も上演していくことや、自社のプラットフォームである映画館やBS松竹東急などを活用することで、より多くのお客様を引きつけられると思っています。演劇と映像の二輪をうまく回して、ものづくりの会社として頑張っていきたいです。