日立ケーイーシステムズは1月29日、大阪駅付近にある地下街「ホワイティうめだ」において、地上デジタル放送波を活用して、災害情報をデジタルサイネージに表示する実証実験を2023年12月27日に実施したことを発表した。

実証実験の概要

今回の実証実験は、南海トラフ地震が発生し、大規模な通信障害が発生した想定で行われたもので、地下街に設置されているデジタルサイネージに、地上デジタル放送波に災害情報を含むデータを載せて送信したデータが画面に適切に表示できるかどうか確認した。

  • 実証実験の前の表示内容

    実証実験の前の表示内容

具体的には、2022年3月に大阪地下街が三菱HCキャピタルのサービスを活用して設置したサイネージシステム「『ホワイティうめだ』200シーリングビジョン」に、神戸市外国語大学のIPDC(IP DataCast:放送や通信にIPパケットを載せて、各種デバイス端末へ一斉同報でマルチメディ アファイルのデータ伝送を行う技術)受信機および動的コンテンツ作成・制御切替装置を接続し、この受信機を介して災害情報や避難誘導情報をデジタルサイネージの画面に継続的に表示できるかどうかや、画面に正しく表示できているかどうかについての検証を実施した。

  • 実証実験のシステム構造図

    実証実験のシステム構造図

実証の結果

実証の結果として、IPDC受信機を介して、災害情報や避難誘導情報をデジタルサイネージの画面に継続表示することを実証したほか、IPDC放送波を使用することで、通信障害発生時でも、コンテンツの切り替えを即座に行えることが確認できたという。

今後の展望としては、デジタルサイネージの設置場所に合わせたコンテンツ提供およびIPDC受信情報をもとにした災害情報表示への自動切替のあり方を詳細検討しながら、デジタルサイネージにおける最適なIPDCの活用方法などを検討していく予定だという。

また今回得られた知見を活かして、同社は、今後も同社のデジタルサイネージサービス「MediaSpace」を防災・減災に活かすための実証実験を継続し、ソリューションとして実用化することを目指す方針だ。