Avast Softwareは1月25日(米国時間)、「That new X cryptocurrency? It's a scam.」において、イーロン・マスク氏の肖像を使用した偽の暗号通貨広告を発見したとして、注意を喚起した。これら広告は、イーロン・マスク氏が所有するX(旧Twitter)に費用を支払って表示されており、悪質とみられている。
詐欺広告の概要
Avast Softwareが確認した詐欺広告にアクセスすると、ニュースサイトのような雰囲気のWebサイトが表示される。そこには新しい暗号資産「X-Token」の発売に関する説明と、「プライベートプレセール」への参加方法が示されている。
Avast Softwareはこの詐欺広告および解説サイトを「よくできている」と評価しているが、詐欺に気付かせる欠陥も存在するという。わかりやすい例として、暗号資産の名称として「X-Token」と「X-Coin」の2種類を使用している点を挙げている。ほかにも、サイトロゴにXの画像とTwitterの画像を使用して統一感がない点も不自然だという。
また、プレセールとして3つの暗号資産の販売形態を説明しているが、Avast Softwareはそれぞれの特典にも問題があると指摘している。特に問題なのが、「購入するとWhatsAppを通じてイーロン・マスク氏から投資に関する支援を受けられる」というもの。マーク・ザッカーバーグ氏が最高経営責任者(CEO: Chief Executive Officer)を務めるメタプラットフォームズのWhatsAppを、関係が良くないとされるイーロン・マスク氏が利用する可能性は低い。そのため、特典内容を閲覧するまで詐欺に気づかなかったユーザーも、ここで詐欺に気づいた可能性があるとされる。
影響と対策
この詐欺広告の目的は、偽の暗号資産を販売して金銭的利益を得ることにあるとみられている。また、購入時に登録するユーザーアカウントから個人情報を窃取することも追加の目的とされる。プレセールで販売される特典付き暗号資産を購入すると、購入サイトのアカウント情報から購入した偽の暗号資産の残高が表示されるが、実際にはそのような暗号資産は存在しないため交換や換金はできない。
Avast Softwareはこの事案から再考させられる重要な点として、オンライン投資における批判的思考とリスク調査を挙げている。このような詐欺を回避するために、うますぎる投資話は詐欺の可能性が高いことを認識し、常に懐疑的かつ慎重に対応することが望まれている。