SK hynixは1月24日、2023年第4四半期の決算概要を発表した。
それによると、メモリ市場の回復もあり、売上高は前年同期比47%増、前四半期比25%増の11兆3060億ウォンとなったほか、営業損益は前年同期ならびに前四半期の赤字から3460億ウォン(営業利益率3%)の黒字と5四半期ぶりの黒字化を果たしたが、純損失は1億3800万ウォンに留まったとしている。
同社では、AIサーバとモバイルアプリケーションの需要が増加し、平均販売価格(ASP)が上昇したことにより、2023年第4四半期はメモリ市場全体の状況が改善し、収益性を重視した取り組みの結果、1年ぶりの四半期営業利益を記録したとしている。
またこの結果、2023年通期の売上高は前年比27%減の32兆7700億ウォン、営業損失は7兆7300億ウォン、純損失は9兆1400億ウォンとなった。
NANDは不振もDDR5とHBM3の売り上げが急増
SK hynixは第4四半期の主な取り組みとして、DRAM市場をリードする先端技術を活用する形で、主力製品に据えているDDR5およびHBM3の売上高が、DDR5が前年同期比で4倍以上、HBM3に至っては同5倍以上の伸びを示したとしている。ただし、市場の回復が遅いNAND市場については、そこまで伸びていないことから投資とコストの合理化を優先したとしている。
こうした市場の動きを踏まえ同社では今後もAIメモリの主力製品であるHBM3Eの量産とHBM4の開発を進めていくとともに、DDR5やLPDDR5Tなどの高性能・大容量製品をサーバやモバイル市場にタイムリーに供給していくことで、高性能DRAMに対する需要の高まりに応えていくとしている。
また、AIサーバおよびオンデバイスAIに対する需要の増加に対応するために、大容量サーバモジュール「MCRDIMM(Multiplexer Combined Ranks Dual In-line Memory Module)」およびモバイル モジュール「LPCAMM2(Low Power Compression Attached Memory Module 2)」の提供準備も進めていくなど、技術的リーダーシップの強化も引き続き図っていくとしている。
懸案のNANDについては、eSSDなどのプレミアム製品の拡販強化による収益性の改善と事業の安定化を目指すとしているが、DRAMに比べると回復は相当遅れそうな模様である。
目指すはトータルAIメモリプロバイダ
SK hynixは2024年について、安定した事業運営に向けて設備投資の増加を最小限に抑えつつ、付加価値製品の販売による収益性と効率性の向上に注力するとしている。
SK hynixの副社長兼最高財務責任者(CFO)のキム・ウヒョン氏は、「AIメモリ分野における技術的リーダーシップを背景に、長引く不況を経て2023年第4四半期に営業利益を計上するという回復を達成した。今後、新たな飛躍の時代を迎えるにあたっては、SK hynixはトータルAIメモリプロバイダとなるべく社会の変化を先導し、カスタマイズされたソリューションを提示し続けていく」とAI市場を中心に据えた事業戦略を展開していくことを示している。