Sansanは1月25日、インボイス管理サービス「Bill One」が、請求書関連業務に携わる1000名のビジネスパーソン(経理部門:700名、経理以外の部門:300名)を対象に実施した「インボイス制度対応の実態調査」の結果を公表した。
経理は一人あたり月8.5時間、非経理は一人あたり月9.0時間の業務増
請求書関連業務に携わる1000名に対し、2024年1月時点でのインボイス制度への対応状況を聞くと、「問題なく対応できている」が66.4%、「課題が発生している」が33.6%と、インボイス制度開始から3か月が経過したもののいまだ3分の1以上の担当者が対応に課題を抱えていることがわかった。
インボイス制度対応で課題が発生していると回答した人に、制度対応に伴う業務増加時間を聞くと、経理部門では一人あたり月平均8.5時間であった。経理以外の部門では一人あたり月平均9.0時間で、経理部門をやや上回る結果となり請求書業務に不慣れな非経理部門での混乱が続いていることが判明した。
また、制度対応で作業時間が増えた項目については、「適格請求書の要件を満たすかどうかの確認」(64.8%)が最多、次いで「不備があった場合の修正対応」(63.4%)となった。
一方、インボイス制度に問題なく対応できていると回答した人に、円滑に対応するために取り組んだことを尋ねると、「従業員へのインボイス制度に関する説明・周知」(36,3%)が最多。次いで、外部サービスの導入などによる「経理業務のデジタル化」(35.3%)であった。
順調に対応できている大企業が取り組んだことの最多は「経理業務のデジタル化」
各社の取り組みは企業規模によって異なり、従業員数1,001名以上の企業は「経理業務のデジタル化」、従業員数101名~1,000名の企業は「従業員への説明・周知」、従業員数100名以下は「顧問税理士など外部からのアドバイスをもらう」が最多となった。
円滑に対応するための具体的な取り組みとして、「社内勉強会を開催、Q&Aサイトを設置(IT・情報通信)」や「二重チェックの体制を作り判定の強化を図った(公共機関・非営利団体)」、「社員への周知徹底を行い、間違えているものは申請者自身に修正対応をしてもらう事で意識を高めてもらっている(製造・メーカー)」など工夫を行っているほか、「受け取った請求書を自動判定するサービスを導入して確認作業を自動化した(運輸・物流)」など、外部サービスを導入した人も多く見受けられた。
経理業務をデジタル化したメリットは「請求書を探しやすくなり生産性向上」「紙のコストを削減できた」
インボイス制度を機に経理業務をデジタル化した企業に、デジタル化して最もメリットを感じたことを聞くと、「請求書の検索や管理がしやすくなり生産性が向上した」と「紙の用紙代や印刷代などのコストが減った」(ともに14.1%)が同率一位であった。ほかにも「郵送や開封などの紙の作業が減り業務効率化につながった」(13.0%)や「人的ミスが減り正確性が向上した」(12.3%)、「テレワークなど働き方が柔軟になった」などが挙がった。
メリットを感じた具体的なエピソードとしては、「受け取った請求書を保存するための製本作業が減った(IT・情報通信)」や「紙が減ったことにより打ち合わせスペースが広くなった(卸・商社)」など、ペーパーレス化により時間やスペースを有効活用できるようになったという声が多数あったほか、「請求書を紛失する心配がない(旅行・宿泊)」や、「郵送で届いていた書類がメールで早く届くので、請求処理の締切日まで余裕ができるようになった(建設・不動産)」といったコメントも挙がった。