ルネサス エレクトロニクスは1月22日、2024年1月20日未明に月面着陸に成功した宇宙航空研究開発機構(JAXA)の小型月着陸実証機「SLIM」に、同社が提供するインターシルブランドの耐放射線ICが搭載されていることを明らかにした。
ルネサスによると、同社はSLIMに組み込まれたコンピュータならびに電子サブシステムのさまざまな主要コンポーネントを提供したという。
提供されたICのいずれもが幅広い温度範囲で動作するように設計されているとするほか、耐放射線能力も最大300krad(Si)のトータルドーズ(TID)にも耐えることが試験で実証されているという。具体的にSLIMに用いられた耐放射線ICとしては、3.3Vおよび5VのRS-422レシーバ、RS-422ドライバ、16チャンネルのアナログマルチプレクサ、40Vのレール・ツー・レール・オペアンプ、3Aの低ドロップアウト電圧レギュレータなどがあるという。
インターシル(Intersil)はルネサスが買収した2017年よりも前、1950年にRadiationが設立されて以降、60年以上にわたって宇宙産業向けに耐放射線ICを提供してきた実績がある。日本では小惑星探査機「はやぶさ2」にも搭載された実績があるほか、NASAの火星探査機「Mars 2020 Perseverance」や宇宙船「オリオン」などにも採用されるなど、多くの実績を積み重ねてきており、ルネサスでは今後もインターシルブランドの製品を、防衛航空・宇宙といった産業分野に向けて継続して提供していくとしている。