シスコシステムズ(シスコ)は1月24日、2024年1月1日付で代表執行役員社長に就任した濱田義之氏の就任記者会見を開いた。所信とともにシスコが目指す事業戦略や重点分野について説明した。
濱田義之新社長の経歴
濱田氏は、日本大学理工学部電気工学科を卒業後、住友電工通信エンジニアリングにおいて光伝送システム開発のエンジニアとしてビジネスキャリアをスタート。2016年に執行役員 最高技術責任者(CTO)としてシスコに入社。
2021年には専務執行役員 情報通信産業事業統括に就任し、日本の主要な通信事業者、モバイル事業者、放送事業者、クラウドおよびメディア事業者のビジネス成長とイノベーションを推進してきた。
直近では、アジアパシフィック ジャパン チャイナ地域のセキュリティセールスを統括するマネージングディレクター セキュリティ事業担当を務め、急速に増大する脅威のなか、顧客のセキュリティ確保の支援に注力してきた。
記者会見の冒頭、濱田氏は「8年前にシスコに入社してから、技術革新による価値創造をずっと追い求めてきた。過去の経験を生かし、顧客企業の持続可能な変革を後押ししていきたい」と語った。
注力する3つの分野「シスコでなければできないことに挑戦」
シスコは現在、グローバル戦略として「セキュリティ」「ハイブリッドワーク」「オブザーバビリティ(可観測性)」「サステナビリティ」「ハイブリッドクラウド」「AI(人工知能)」の6つのテーマに注力している。「日本事業においてもセキュリティとサステナビリティ、AIは重点的な分野だ」(濱田氏)という。
同氏は続けて、「日本のデジタル競争力ランキングの世界順位は低く、まだまだ世界の成長スピードに追い付いていない。日本が成長するには、あらゆる分野でのDXが欠かせない。シスコでなければできないことに挑戦していく」と意気込んだ。
そして同社は、機器やソフトウエアのサブスクリプションビジネスの拡大にも力を入れる。総売り上げに占めるサブスクリプション収益の割合は2022年度には43%だったが、これを2025年度に50%に高めることを目指す。加えて、ソフトウエアの売り上げに占めるサブスクリプションの収益の割合を2022年度の81%から、2025年度には85%にまで高める計画だ。
濱田氏は「サービスを提供して終わりという形式をやめる。サブスクリプションサービスの割合を拡大させ、顧客とともに課題解決に向けて伴走する。また、サービスのプラットフォーム化も欠かせない。顧客の新しい課題に対して新たなサービスを提供するのではなく、サービスが充実したプラットフォームを提供していく」と説明した。
自律分散型の組織へ
さらに同社は、自社の企業文化の変革にも力を注ぐ。自律分散型の組織への転換を図る。「企業のカルチャーも大事。社員の一人ひとりが自ら考え行動し、アジャイルに動いていく組織を目指している。意見の違いから衝突することもあるが、互いの個性を理解し合い、ビジョンを共有し合う。そこで生まれるシナジーもあると確信している」(濱田氏)