公益社団法人日本通信販売協会(JADMA)は1月23日、総務省が進めている一部定形郵便物の値上げについて、反対を表明した。「適正な原価に基づいて料金上限を計算したものとはいえない」などが主な理由。30%程の大幅な値上げは、紙媒体で販売促進を図る通販企業の事業継続に大きく影響を及ぼすだけではなく、製紙・印刷・発送代行など他業種にも悪影響を及ぼすと指摘している。
総務省は2023年12月18日、情報通信行政・郵政行政審議会の分科会を開き、定形郵便物料金の上限額について、25グラム以下は現行の84円から110円に、50グラム以下も94円から110円に引き上げる省令案をまとめた。はがきも現行の63円から85円に値上げする見通しだ。
JADMAはこの省令案に関して、パブリックコメントを提出した。反対の理由として、「郵便事業の合理化が不十分であり、適正な原価に基づいて料金上限を計算したものとはいえない」と指摘している。
郵便物の通数が大幅に減少しているのに対し、郵便局数は微減に留まっており、経営の合理化が進んでいない。さらに企業買収や出資において、多くの損失を出していることにも言及。値上げ以前に能率的な経営の実現を優先すべきとしている。
さらに郵便料金上限を引き上げるとしても、引き上げ幅を減縮するべきと提言している。「30%もの大幅な引き上げは、企業がコストとして受け止めきれる幅を超えている」と指摘している。
仮に郵便料金上限を引き上げる場合においても、ビジネス需要を喚起する仕組みを拡充するべきとも提言している。郵便料金の値上げは、通販企業のデジタルシフトを促進することになる。そのことで紙の利用が大幅に減少すれば、製紙・印刷・発送代行など多業種に悪影響が生じる。
仮に値上げする場合でも、割引などのビジネス需要を喚起するような施策を拡充しなければ、郵便の需要は想定以上に減少する可能性がある。安易な値上げは、市場全体に悪影響を与えるおそれがあると指摘した。
■JADMAが提出したパブリックコメント
https://www.jadma.or.jp/pdf/2024/yuubin2401_publiccomment.pdf