パーソルホールディングスは1月23日、全国就業者データベース「はたらく定点調査」のうち、各年代の「ゆとり・余裕」に焦点を当てた世代間の比較データを公表した。
「はたらく定点調査」は、本業または副業で働いている全国の15歳から69歳の男女10万人を対象に、2023年3月実施したオンライン調査に基づくもの。幅広い世代の多様なデータを通じて、はたらき方に関わる生活全般の実態と変化を可視化し、地域別、ジェンダー別、年収別、年齢別、職業・職種別、価値観など、さまざまな切り口でデータを抽出することが可能となっている。
「ふだんの暮らしには、どの程度のゆとりがありますか」という問いに対し、「(時間的なゆとりが)ある」と答えた割合は60代が58.2%で最も高かった。一方で、30代が34.4%で最も低く、次に少なかったのは40代で36.3%という結果となった。
「ふだんの暮らしには、どの程度ゆとりがありますか?」という質問に「(仕事をする際に心のゆとりが)ある」と答えた割合は、60代が51.6%で最も高かった一方、40代が31.0%で最も低く、30代が31.6%と2番目に低かった。
「ふだんの暮らしには、どの程度ゆとりがありますか?」という質問に「(経済的なゆとりが)ある」と答えた割合は、10代が35.7%で最多となった一方、40代が23.6%で最も低かった。また、「1か月のおこづかい(自由に使えるお金)はどれくらいですか?」という質問に対して最も多い額を答えたのは20代で、40代は10代を除けば最も少ない金額となった。
これらの結果について、パーソル総合研究所 研究員の金本麻里氏は、世界の多くの国で40代後半に人生の幸福度が最低となる傾向があるという調査結果があり、これは仕事における時間的、精神的、経済的な「ゆとり」が40代で低いことと無関係ではないと推測。特に管理職の負担が増え、40代ではプライベートでは親の介護や子育て、自宅のローンや学費など出費がかさみ、共働き・共育てが増加していることで一人ひとりのゆとりを減少させているとみている。
さらに、一定のゆとりや余裕は健康で幸福な生活を送るためだけでなく、仕事での能力発揮とも大きく関わるため、組織は管理職でも介護・育児と仕事の両立など、個別事情に配慮したはたらき方ができるように組織体制や業務設計を柔軟化していく必要があり、こうした変革が、多くの人を引き付ける魅力的な組織作りにつながっていくと同氏は述べている。