富士通、東京海上レジリエンス、東京海上日動火災保険(以下、東京海上日動)は1月22日、レジリエントなサプライチェーンの構築を目指す協業を開始することを発表した。合わせて、サプライチェーンにおけるリスクを可視化するサービス「Fujitsu Supply Chain Risk Visualization Service(以下、SCRV)」を1月25日から提供開始することも発表し、オンラインで説明会を開いた。
富士通と東京海上が共同でサービス提供
同サービスではサプライチェーンの正確な把握とリスク評価を実施し、自然災害など有事に備えたサプライチェーンの構築とリスク対策の立案、有事の迅速な影響の把握と意思決定を支援する。
平時は導入企業と仕入先の立地情報に基づいてリスクを評価する。有事の際には発災のデータを東京海上レジリエンスが富士通に提供し、被災可能性のある導入企業およびその仕入先に対してアラートを発報する。
さらに同サービスでは、東京海上日動との連携によって、物流の途絶を回避するための追加費用についても補償する。仕入先からの貨物の先出しや迂回輸送する場合に、増加する分の費用を保険で負担する仕組みだ。なお、従来のような被災による物損の保障ではなく、サプライチェーン途絶を防ぐための追加費用を補償するものだ。
「サービスの提供だけでなく、何かあった場合の費用の補償まで一気通貫で提供するのが、SCRVの特徴」と、富士通のクロスインダストリーソリューション事業本部でシニアマネージャーを務める新美弘氏が紹介していた。
有事の際に備えてサプライチェーンのリスク管理を支援
SCRVの利用により、平時から自然災害に対するサプライチェーンのレジリエンシー向上が見込めるという。自社の立地情報などを同サービスに入力すると、東京海上日動などによる客観的なリスクが表示される。この情報をもとに仕入先とのコミュニケーションが図れるという。
同サービスで得たリスク情報は自社拠点の減災対策や有事の対応(BCP対策)に活用できる。また、有事の際にボトルネックとなり得る仕入先を事前に把握しておくことで、事前に代替となる調達先を検討するといった準備ができる。加えて、仕入先選定時にリスクを考慮するなど、調達戦略にも情報を活用できるそうだ。
有事の際にはタイムリーな状況把握と対策を支援
自然災害の発生時など有事の際には、サプライチェーンへの影響を把握して迅速な対応を支援することで、サプライチェーンの寸断を回避、または影響を最小化する。災害発生時には、SCRV上の地理データから被災の可能性があるユーザー企業を選出してアラートを発出。これをもとにユーザー企業は仕入先と迅速なコミュニケーションが取れる。
サプライチェーンへの影響発生を早期に把握することにより、対応体制の迅速な立ち上げに寄与するという。また、代替となる仕入先を確保するなど、サプライチェーンへの影響を抑えるための対策にも迅速に着手できる。