【国土交通省】ライドシェア、一部可能に 全面解禁へ議論継続

一般ドライバーが自家用車を使って有償で乗客を運ぶ「ライドシェア」導入に関する政府方針が示された。タクシー会社が運行管理を行うことを条件に、タクシーが不足する地域や時期、時間帯に限定して、4月から開始する。

 タクシー配車アプリのデータに基づき、タクシーが不足する地域や時間帯を特定し、一般ドライバーを活用できるようにする。安全性確保や事故時の補償に関する懸念を踏まえ、車両整備や運行に関する管理、ドライバー教育、運送責任はタクシー会社が担う。さらに全面解禁に向けた法整備の議論も行うと明記した。

 交通手段の確保が困難な過疎地で、自治体やNPO法人に限定して有料の送迎を認めている現行の「自家用有償旅客運送」制度も拡充。国土交通省は現在、要件の目安に「半径1キロ以内にバス停・駅がない地域」などを掲げるが、タクシーが不足する夜間も加える。

 ライドシェアを巡っては、全面的な解禁を求める意見があった一方、安全面を心配する声もあり、物流・自動車局の幹部は「今できる精いっぱいの見直しを行った」と説明。

 政府の規制改革推進会議などでは、ドライバーについて、雇用契約に限らず業務委託を認めることや、タクシー会社以外がライドシェア事業を行うことを定める法整備も議論されてきたが、結局、結論は出ず検討課題となった。

 斉藤鉄夫国交相は「今ある法律の枠組みの中で対応し、その状況を見ながら議論を進めたい」と強調する。

 別の同局幹部は「今回の見直しで、タクシー不足を相当カバーできる」とした上で、「今後タクシー運転手が十分確保できる状況になれば、ライドシェアの制度は必ずしも必要ない」とも語っていた。

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