「リアルの顧客接点がさらに重要に」【D2Cの会 フォーラム2023 <講演要旨>】 第5回 売上をアップする「マーケティングファネル」

通販・D2Cのコンサルティングを手掛ける売れるネット広告社はこのほど、「『D2Cの会』フォーラム2023」を開催した。オルビスややずやなど、通販・D2Cを運営する企業の社長・担当者が多数登壇した。本連載では、フォーラムで開催された講座のハイライトを紹介する。第5回は、化粧品・健康食品通販のアイムの丸山敦史執行役員、アートワークスタジオの荒西俊和社長、ユナイテッドスクエアの渡邉浩一郎社長の3人のセッションの後編を取り上げる。モデレーターはピアラの飛鳥貴雄社長が務めた。

<オフラインも重要>

飛鳥:ファネルに関して、この一年で変化を感じたことや新たに挑戦したことはあるか。

荒西:当社は現在、シャンデリアなど意匠照明の企画・販売に携わっている。そこで、D2Cにも有用だと思い始めたことの一つが、改めてオフラインの顧客と接点を持つことだ。

ショールームに来店した顧客を見ていると、「どの商品のどの部分にひかれたのか」や、「改善点はどこなのか」といったことがよく分かる。顧客の表情や声音などから、ネット上のアンケート以上の多くの情報を得ることができる。

丸山:当社では、座談会形式で顧客の声を収集する活動を行っている。D2Cだけで売り上げを伸ばしていくことに限界を感じている部分があり、店頭で顧客接点を持つことにもチャレンジしている。

渡邉:テレビCMを見た顧客は、検索してホームページに流入してくるが、最近ではその検索方法に変化がある。

SNSで検索したり、アマゾンで検索してレビューを確認したりすることなどが、その一例だ。そのため、検索のさせ方にも留意する必要がある。

ミドルを充実させていくためにも、インフルエンサーや医師などの権威付けの強化も重要だと考えている。

<ブランドの存在意義>

飛鳥:ファネルとは、最終的にブランド構築につながると考える。市況変化が激しい現在、ブランド構築で大切だと思うことは何か。

荒西:当然のことではあるが、「顧客とどこで接触するのか」について、そこでの接触品質をきちんと管理していく必要があると思う。

供給過多になるとブランド力が弱くなる印象があるため、情報と商品の供給のコントロールも意識している。

丸山:マーケティングの基本といえることだが、ブランドごとにパーパスを定めて、そこに共感してもらえるような動きをしているところだ。

ブランドごとに動いているとコスト効率も悪くなるため、多くの商品を抱えているわれわれとしては、会社全体をブランディングしてやるべきことも模索している。

渡邉:やはり一番大切なことは、ブランドとして何を伝えたいかだと考える。CMを作る際も、うまくいっている他社の方法をトレースするのではなく、コンセプトを一気通貫して、ファネルで展開していくことは重要だと考えている。

飛鳥:顧客の本質的なところにどう訴えていくかというマーケティングの基本に戻ってきていると考える。CPA、CPO、LTVといった数値に左右されがちだが、本質的な視点にもわれわれは改めて気付いていく必要があるようだ。