IDC Japanは1月21日、国内データセンター(DC)におけるAIサーバー向け電力キャパシティの推計値を発表した。2027年末時点におけるAIサーバー向け電力キャパシティは、2024年末時点の約1.5倍になると同社はみている。
AIサーバー向けのDC電力は今後3年で約1.5倍へ
IDCは、ユーザー企業によるAIサーバー導入について一定のシナリオを設定することにより、国内DCにどのくらいのAIサーバー環境が配備されるのかを、DCの電力キャパシティで推計した。
それによると、ユーザー企業が、毎年最新モデルのAIサーバーを購入するという「積極投資」のシナリオのもとでは、2024年末から2027年末にかけて、AIサーバー向けのDC電力は約1.5倍になるという。さらに2027年末時点のAIサーバー向けDC電力は、ハイパースケールDCの2~3棟分に相当する規模になることも判明した。
AIサーバーは1台あたりの消費電力と発熱量が大きいことから、従来のDC冷却システムでは対応が難しいと言われており、今回の推計において、積極投資シナリオのもとでは、2027年末時点の国内DCに配備されるAIサーバー環境はすべて超高密度環境(サーバーラックあたりの電力が20キロワットを超える環境)となり、液冷方式などの新たな冷却技術の導入が進む可能性が高まるとIDCは見ている。
IDC Japan Software & Services リサーチマネージャーの伊藤未明氏は、次のように分析している。「実際のAIサーバー環境は、同一DC内の通常密度環境と混在して設置される可能性があり、DC運用が複雑化する可能性がある。キャパシティ計画などの効率化および確実性の強化が求められる」
今回の発表は、IDCが発行したレポート2024年国内データセンター市場におけるAIワークロードの影響:電力、冷却、配備戦略にその詳細が報告されている。同レポートでは、ユーザーのAI投資行動として慎重投資のシナリオにおけるAIサーバー電力の推計も行っている。また、AIサーバー配備のための電源システム、冷却システム、DC立地の条件についても解説している。同レポートの詳細については、IDC Japanへ問い合わせのこと。