サミットエナジーとNECは1月22日、両社が協業し、電力の需給調整市場へ参入したことを発表した。市場への供出量は、サミットエナジーが保有するサミット美浜パワーの17MW級ガスタービン2基、15MW級蒸気タービン1基を活用して発電した電力のうち、最大7.5MWとなる。
各社の役割
需給調整市場は、一般送配電事業者が周波数制御・需給バランス調整を行うために2021年に開設されたもの。再生可能エネルギーは自然条件によって出力が変動するため、需給調整市場で取引される「調整力」を確保し、需要と供給を一致させることが重要となっている。
今回の協業で、サミットエナジーは、発電リソースの提供および、市場価格や発電リソースの状況などを鑑みた入札戦略・運転計画の立案を行う。NECは、リソースアグリゲーター(需要家とバーチャルパワープラントサービス契約を直接締結してリソース制御を行う事業者)として、独自のリソースアグリゲーションクラウドサービスを活用し、発電リソースの管理を行うほか、アグリゲーションコーディネーター(東京電力)からの制御指令に基づき、発電リソースに対して制御指令の伝達を行う。
サミットエナジーは、発電・需給管理・小売を一貫して行い、電力を供給してきた。今後、再エネの普及に伴い電力供給が不安定化することが危惧されている中、需給調整市場を介した調整力の提供や高度な予測技術の活用などを通じて、電力供給システムの安定性向上に寄与していきたい考え。
また、このような電力供給の安定性向上の取り組みと、従来より取り組んできた再エネ供給のさらなる増加を通じ、地球環境への負荷軽減にも貢献していく構え。
一方のNECでは、2016年からVPP(バーチャルパワープラント:需要家側エネルギーリソース、電力系統に直接接続されている発電設備、蓄電設備の保有者もしくは第三者が、そのエネルギーリソースを制御することで、発電所と同等の機能を提供すること)実証事業に参画し、調整力を確保するために必要不可欠な、AIによる予測技術、IoTによる分散電源の制御技術に関する研究開発を進めてきた。
今後は、これまで培ってきたノウハウを活かして、再生可能エネルギー主力電源化に向けて課題となる電力需給の安定化に対して、「予測」「計画」「リアルタイム制御」などの技術で寄与したい方針。