帝国データバンクは1月19日、2024年1月1日に発生した能登半島を震源とする地震によるる企業活動への影響のほか、企業防災(企業が行う自然災害への対策)に対する意識についての調査の結果を発表した。有効回答企業数は1255社。
能登半島地震による影響を受けた企業は13.3%
能登半島地震による自社の企業活動への影響(直接・間接問わず)の有無を聞いたことろ、「すでに影響が出ている」もしくは「影響が見込まれる」とする企業は合計で13.3%となった。内訳をみると、「すでに影響が出ている」が4.3%、「影響が見込まれる」が9.0%だった。
既に影響が出ている企業からは、「社屋の一部が損壊した。幸い生産設備に問題はなかったが、一部配管漏洩や防煙ガラス破損、部材転落などの被害があった」(精密機械、医療機械・器具製造、富山県)といった、地震による直接的な影響を示す声が聞かれた。
一方、「材料が納入できなくなり、工期延長が発生した」(建設、埼玉県)や「金属製品の納入を検討していたが、取引先の工場が被災して納品時期が不明とのことで、別製品に切り替えることになった」(専門サービス、茨城県)のように、被災した地域以外でもサプライチェーンなどへの間接的な影響がみられた。
「影響がある(見込み含む)」の割合を規模別にみると、「中小企業」は12.1%と全国(13.3%)より若干低かった。一方、比較的幅広い取引ネットワークを持つ「大企業」は20.1%と全国を6.8ポイン上回る結果となった。
また、地域別では被災地である「北陸」が 43.2%と突出して高かった。企業からは、「人的、物理的被害は甚大であるが、震災による自粛・萎縮マインドにともなう地域経済活動の停滞も心配。災害復興の継続支援のほか、風化させない取り組みが必要」(金融、石川県)といったコメントがあがっていた。
企業の約95%が「企業防災」の大切さを改めて実感
同調査では、能登半島地震の発生を機に、企業として改めて大切だと考えた防災対策を聞いた。その結果、「飲料水、非常食などの備蓄」が39.2%でトップとなった。次いで「社内連絡網の整備・確認」(38.3%)が続き、「非常時の社内対応体制の整備・ルール化」(31.6%)や「非常時向けの備品の購入」(28.4%)などが上位に並んだ。また、「事業継続計画(BCP)自体の策定・見直し」(20.6%)は5社に1社となった。
企業からは、「自然災害の強力な破壊力に対し、何かをするというより、起きた後の社員と社員の家族の生活をどのように安定させるかということを真剣に考えるきっかけになった。備蓄をどのように進めるかをしっかり検討していきたい」(情報サービス、岡山県)や「危機管理の重要性を再認識した。今回のように長期休暇中での災害は安否確認などに時間がかかる。緊急連絡網の整備と災害時での対応を常に議論することが重要だと実感した」(建設、栃木県)といった声が聞かれた。
なお、今回の地震を機に何らかの企業防災対策の大切さを改めて実感した企業は94.9%にのぼった。