MSPowerUserは1月16日、「Google updates Chrome Incognito disclaimer amid $5 billion lawsuit settlement」において、GoogleがChromeのシークレットモードの注意書きの変更を計画していると伝えた。Googleは先日、シークレットモード中のプライバシー保護を巡って争っていた集団訴訟で原告との和解に合意した。注意書きの変更はこの和解を受けてのものと思われ、シークレットモード中もユーザのアクティビティに関するデータ収集を継続することが明記されている。
シークレットモードを巡る集団訴訟
Chromeのシークレットモードは、閲覧履歴やCookie、フォームへの入力情報などといったデータがWebブラウザに記録されないようにするモード。これはローカルのPCにおけるデータの取り扱いに関する機能であり、ユーザーのアクティビティが閲覧先のWebサイトや使用しているインターネットプロバイダーなどによって収集できないようにするわけではない。
これに対し、Googleがあたかもシークレットモードによってユーザの行動履歴に関する情報が第三者から保護されるかのように誤認させていると、複数のユーザーが主張したのが事の発端である。2020年6月に開始された集団訴訟は2024年に入って、原告の主張を受け入れる形で和解に至ったとされている。和解条件の詳細は明らかにされていない(参考記事:Google、シークレットモードにおけるユーザーの行動追跡を巡る訴訟で和解 | TECH+(テックプラス))。
修正されたシークレットモードの注意書き
2024年1月19日時点の正式バージョンでは、シークレットモードの起動ページには、次のような注意書きが掲載されている。
「現在、シークレット モードで閲覧しています。あなたのアクティビティは、このデバイスを利用する他のユーザーには表示されません。ただし、ダウンロードしたファイル、ブックマーク、リーディング リストは通常どおり保存されます。」
それに対して最新のCanaryバージョンでは、この文言が次のように変更されている。
「あなたのアクティビティはこのデバイスを使用する他のユーザーに表示されないため、プライバシーを守りながらブラウジングできます。アクセスしたウェブサイトと、そのウェブサイトが使用するサービス(Google を含む)のデータ収集方法は変更されません。ダウンロードしたファイル、ブックマーク、リーディング リストは保存されます。」
後者はデータ収集について明確に言及していることから、この変更が前述の訴訟の合意を受けてのものであると考えるのは自然だろう。もっとも、従来の表記でも但し書き以下で訪問先のWebサイトや利用しているインターネットサービスプロバイダーでデータが収集される可能性がある点は明記されていた。
この注意書きの変更は、現在は正式リリース前の早期ビルドであるCanaryバージョンのみに適用されている。正式版に適用されるタイミングについてはまだ明らかではない。