ゲーム開発者カンファレンス「GDC 2024」(3月18〜22日)開催に先立ち、主催するInformaが「2024 State of the Game Industry」を公開した。現在および将来のゲーム産業の動向について、3,000人以上のゲーム開発者を対象に実施したアンケートをまとめたレポートである。それによると、PCがゲーミング市場を牽引する一方で、新しいプラットフォームへの期待が高まっている。また、Unityのポリシー変更を経て、ゲームエンジンソフトウェアの変更に取り組み始めた開発者が増加している。
回答者の構成は、インディースタジオ(32%)、AAAスタジオ(18%)、AAスタジオ(11%)、個人コントラクター/フリーランス(7%)だった。
「現在進めているプロジェクトのプラットフォームは?」(複数選択可)は、「PC」(66%)が他を引き離しており、「PlayStation 5」(35%)、「Xbox Series X|S」(34%)、「Android」(24%)、「iOS」(23%)が続く。「開発者として今最も関心のあるプラットフォームは?」という質問(複数選択可)に「Mac」を挙げた開発者は12%。Appleがゲーム開発のサポートを改善しているものの、ゲーム開発者の反応は鈍い。
家庭用ゲーム機では、PlayStation 5がXbox Series X|Sよりも開発者を引き付けており、33%が次のプロジェクトをPlayStation 5に提供すると回答した(Xboxは30%)。Xbox Cloud GamingやPlayStation Plusのようなクラウドゲーミングのプロジェクトに取り組んでいる開発者は7%だった。Nintendo Switch向けの現行プロジェクトは18%にとどまるが、開発者として今最も関心のあるプラットフォームに32%が「Nintendo Switchの次世代機」を選択した。
モバイルへの関心が薄れる傾向が強まっており、次のゲームで対応を考えているプラットフォームでAndroidまたはiOSを挙げたのは回答者の5分の1。2023年から16%減少した。一方で「Meta Quest 3」や「Apple Vision Pro」など話題の製品が増える「VRヘッドセット」に注目する開発者が増えており、21%が最も関心のあるプラットフォームに選んだ。
使用しているゲームエンジンは「Unity」(33%)、「Unreal」(33%)、「プロプリエタリ/インハウス」(14%)。
UnityとUnrealの2強に変わりはないが、過去12カ月の間に7%がゲームエンジンを変更しており、28%が変更を検討していると回答した。変更について、多くがUnityのポリシー変更を理由に挙げた。ゲームエンジン開発企業に依存することへの懸念が広がっており、51%がオープンソースの2D/3Dゲームエンジン「Godot」への乗り換えに関心を示した。
ゲーム産業はAIの活用に積極的な産業の1つであり、ChatGPT、DALL-E、GitHub Copilotなど、一昨年から利用が広がっている生成AIツールについても、「使用している」(31%)、「自分は使っていないが、同僚が使用している」(18%)だった。ただし、「ビジネス&金融」(44%)や「コミュニティ/マーケティング/PR」(41%)での利用が多く、「プログラミング/エンジアリング」は25%、「ゲームデザイン」は21%だった。
生成AIの業界への影響については、好影響(21%)、悪影響(18%)、両方(57%)と、現在のところ開発者の見方は分かれる。しかし、著作権や知的財産権の侵害、レイオフが広がる可能性など倫理的な影響については「非常に懸念している」(42%)、「やや懸念している」(42%)と、多くが懸念を示した。
昨年、生成AIの影響や労働契約を巡ってハリウッドで脚本家と俳優の組合がストライキを実施したが、「ゲーム産業の労働者も組合化すべきか?」という質問に57%が「Yes」を選択した。18〜24歳は72%、25〜34歳は66%と、若い年齢グループほど組合化を強く支持している。