米Accenture(アクセンチュア)が1月12日(スイス時間)に発表した「Pulse of Change: 2024 Index」によると、世界の経営幹部は2023年にかつてないほどのスピードの変化に直面し、2024年にはさらにそれが加速するという。
同調査で公開した指数(インデックス)は、テクノロジー、人材、経済、世界情勢、気候、消費者と社会という事業に影響を及ぼす6つの変化要因について労働生産性やIT支出などの指標を用いてランク付けした。
また、6つの変化要因に関する分析に加え、3400人以上の経営幹部を対象に、これらの要因が企業に与える影響とその対応の準備に関する調査と比較した。
事業に創造的破壊をもたらす要因第1位は「テクノロジー」
今回公開した指数では、生成AI(人工知能)の進化により、事業に創造的破壊をもたらす要因として「テクノロジー」が2022年の6位から1位に上昇し、2023年にその数値が最も増加した。また、経営幹部に対する調査でもテクノロジーが変化要因の1位に挙がっている。
同指数における事業への変化要因(スキル不足や従業員エンゲージメントの欠如などの問題を含む)の次点は「人材」だった。
経営幹部に対する調査では人材は4位だったが、経営幹部の42%が、スキル不足は変化に対応する能力を阻害する課題の1つだと回答しており、企業にとって人材戦略が最優先事項であることを裏付けているという。
上位6項目の変化要因において、その変化の度合いは2019年以降に急上昇しており、過去4年間では183%に達し、過去1年間では33%だった。
同社ストラテジー&コンサルティングのグループ・チーフ・エグゼクティブを務めるJack Azagury氏は、「ここ数年で変化の度合いは急速に高まっており、企業活動の構造的な変革が求められています。変化と革新的イノベーションの最も重要な要因であるテクノロジーは、この構造変化の鍵でもあります。今後10年で成功する企業は、生成AIの活用など、テクノロジー、データ、AIを活用して継続的に企業を再創造する戦略を採用し、従業員を変革の中心に据える企業です」と述べている。
約9割の経営幹部が2024年にはさらに変化のスピードが加速すると予想
経営幹部に対する調査により、今後1年間で急速な変化が経営幹部に広範な影響を与える可能性があることが明らかになったという。
具体的には、1)経営幹部の88%が2024年にはさらに変化のスピードが加速すると予想、2)回答者の60%が変化をチャンスと捉え、68%は2024年に増収を見込んでいる、3)楽観的な見方の一方で、回答者の52%は2024年の事業環境で直面するであろう変化に対応する準備が十分でないと回答、の3点を挙げている。
経営幹部の61%は、2024年にはテクノロジーによる創造的破壊のペースがさらに加速すると予想しており、76%は生成AIを脅威よりもチャンスと捉え、コスト削減よりも収益拡大に有益であると考えている。
しかし、回答者の47%は、加速するテクノロジーの変化への備えが十分でないと答えており、72%は、責任あるAI活用に関する社会的懸念から、より慎重な投資を行っているとのことだ。
なお同調査は、6つの変化要因が世界のビジネスに影響を与える変化の分析結果および、2023年10月~11月に実施した20か国19業種の多様な会社機能に携わる3400人以上の経営幹部が対象のグローバル調査から変化に対する認識とビジネスの革新的イノベーションの分析を比較した結果を、比較したものとのこと。