【住友商事】新社長に副社長の上野真吾氏が昇格へ

「住友商事グループ全世界8万人のヘッドとして担うべき責任の重さをひしひしと感じている。熱い想いが腹の底から湧き上がってくる」

 こう語るのは、住友商事副社長の上野真吾氏。

 住友商事が4月1日付で、副社長の上野氏が社長に昇格する人事を発表。同社は社長在任期間の上限を6年としており、社長の兵頭誠之氏は3月末で社長の在任期間が満6年となることから代表権のない会長に就く。

 2018年から社長に就任した兵頭氏は、コロナ禍の21年3月期に過去最大となる1530億円の最終赤字を計上。石炭やニッケルなどの資源価格下落が業績を直撃したことから、低採算事業から撤退しつつ、資源に依存しない事業構造を構築。23年3月期には最終利益5655億円(このうち非資源は3430億円)の最高益を達成した。

「4月から始まる新年度を新体制のもとでスタートしていこうと考えた。次の世代をつくっていくリーダーを選ぶことができたと考えている」(兵頭氏)

 上野氏は1959年兵庫県生まれ。82年慶應義塾大学商学部卒業後、住友商事入社。鋼管部門が長く、イラン、英国、米国など、海外駐在経験も豊富。多くのトレーディングや新規投資に携わり、構造改革で多くの事業の立て直しに関わってきた経験が評価された。

 同社はすでに、脱炭素分野の開拓を担う社内横断組織「エネルギーイノベーション・イニシアチブ」を立ち上げるなど、次世代エネルギーやヘルスケア・農業を新たな成長分野に位置づける。25年度には当期利益6千億円を目指す考えで、上野氏はこれら成長事業をいかに収益化していくかが課題となる。

「あらゆる戦略の見直しを行ってきて、最高益の達成でようやく足腰がしっかりしてきた。次のステージへステップアップしていくため、目指すはナンバーワン事業群。社員にはナンバーワンになる気概を持とうと言いたい」と意気込む上野氏。

 次なる成長へ、今後は上野氏の実行力が問われることになる。

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