パナソニック ホールディングス(HD)は1月15日、創造力を家族で育む「Scratch Home School ~パナソニックの学校~」として、有償カリキュラムによる実証を開始したことを発表した。発表に先駆け、13日に綱島サスティナブル・スマートタウン(神奈川県横浜市)にて初回の対面授業が開催された。
Scratch Home Schoolでは、日々変化するテクノロジーの時代に求められる能力を身につけることを目的とした有償カリキュラムを提供する。主にプログラミングソフト「Scratch(スクラッチ)」を活用したプログラミング教育を行う。
対象は、小学校3年生~6年生までの親子。「くらし」をテーマにしたカリキュラムを提供し、家族と協力しながら自由な発想で課題に取り組む。1カ月(4週間)を1サイクルとして3カ月間、合計12週のカリキュラムを提供する。
具体的には、1月はくらしに欠かせない「食」をテーマに、2月は身の回りの「光」をテーマに学び、3月は「自然」の音をAR(拡張現実)といったテクノロジーを使って視覚化する。料金は3カ月合計で3万9600円(税込)。第1期である2024年1月期は、小学3~4年生の親子10組が参加した。
「パナソニックの学校」3つの特徴
このパナソニックの学校には、3つの特徴がある。1つ目は評価軸を「創造的な逸脱」としていること。スクールの授業では講師がテーマを提示するが、自らの興味と価値観に基づいて逸脱してこそ、新しい発見があると同社は考えている。
2つ目は、科学的アプローチに基づいた学びが設計されていること。米マサチューセッツ工科大学(MIT)が提唱するクリエイティブラーニングという学びのプロセスを導入し、独自開発のIoTトースターやIoT照明を組み合わせ、従来のロボットやゲームによる数学・物理領域の学びから化学・生物学・アートへと学びの領域を拡張している。
そして最後の3つ目は、家族で学べるようにカリキュラムが設計されている点だ。くらしをテーマにしたカリキュラムであるため、大人も子どもも知識と経験がある内容で学ぶことができるようにした。家族で一緒にくらしに隠れる学びを深められるカリキュラムを構築したとしている。
誰かのためのオリジナルのクッキーを
初回の対面授業では、Scratchをベースとしたプログラムで動くIoTトースターで加熱温度、時間を自由にプログラムし、オリジナルのクッキーレシピを作った。
まず子どもたちが自分で決めた相手(お母さんやおばあちゃんなど)のために、どのような食感や味のクッキーを焼くかを考え、そして材料配分や形、またトースターの温度や時間を試行錯誤しながら3~4回繰り返して理想のクッキーを目指した。
親子で加熱と食材の化学反応を学んだり、どうすれば美味しく焼けるのかということを試行錯誤したりすることで食に対する学びを深めていた。そして、最後に焼いたクッキーはオリジナルラベルを付けたパッケージにした。ある子どもは「友達にプレゼントするのが楽しみ」と笑顔を見せてくれた。
Scratch Home Schoolの校長を務めるパナソニックHD 技術部門 プラットフォーム本部 ヒューマンエクスペリエンス革新室 主幹の高田和豊氏は、「これからの時代は、正解が決まっていない問題に対して主体的に取り組める力が不可欠だ。このカリキュラムを通じて、家の中に創造性を育む新しい『砂場』を作ってほしい。砂場のルールは子どもが決め、テクノロジーを活用することで砂場を広げる。そして、その砂場は家族で遊ぶもの」と同社が提供したい教育のあり方を説明していた。