富士フイルムは1月15日、電子材料事業をさらに拡大するべく、イメージセンサ用カラーフィルタ材料の生産能力を増強することを目的に同グループの熊本拠点に約60億円の設備投資を行う計画を発表した。
イメージセンサは、デジタルカメラやスマートフォンなどで搭載されているが、近年では、自動車やセキュリティ機器など用途を拡大させていることから、その市場は年率約7%で成長することが見込まれているという。
現在、同社はイメージセンサ用カラーフィルタ材料を静岡県と台湾の新竹で生産してきたほか、韓国(平沢)でも同製品の工場の建設を進めている。また、高度な機能性分子技術やナノ分散技術などを生かして、可視光領域や広範囲な波長領域をターゲットとした製品の開発と市場導入を促進するなど、広範囲な波長の電磁波(光)をコントロールする機能性材料群「Wave Control Mosaic(WCM)」として製品展開を図るなど、ビジネスの拡大も進めている。
今回の設備投資は、電子材料事業の中核会社である「富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(FFEM)」が、熊本県に立地する「富士フイルムマテリアルマニュファクチャリング九州エリア(FFMT九州)」に、イメージセンサ用カラーフィルタ材料の生産設備を導入する計画で、2025年春の稼働を予定するとしている。クリーンルームの設置に加え、最先端の検査機器を導入し品質保証体制を構築するとしており、静岡拠点と同様の生産・品質保証体制を確保することで、万が一の障害や自然災害などのリスクを考慮したBCP対応を強化していくことで、より安定的な供給を実現したいとする。
このほか、FFMT九州では硬さの異なる配線や絶縁膜が混在する半導体表面を均一に平坦化する研磨剤「CMPスラリー」を生産する最新鋭設備も2024年1月中に本格稼働させる予定ともしている。
なお富士フイルムは今後、イメージセンサ用カラーフィルタ材料において世界4拠点の生産体制の下で生産・提供を行い、顧客ニーズにあった新規製品の市場導入を加速させることでWCMの売上拡大を目指していくとしている。