富士通ゼネラルエレクトロニクス(FGEL)は1月12日、パワーモジュールの増産と安定供給に対応するべく投資額8億円をかけ、生産拠点を拡大することを発表した。新たに設置される生産ラインについては、大分県大分市にある大分デバイステクノロジー(ODT)を協力工場としてODTの工場内に開設するとしている。
近年、電気自動車など車載分野におけるパワーモジュールの需要が急速に高まる一方で、家電や産業機器分野では依然として供給不安が生じることについて懸念されているという。そうした中で同社は、需要が高まっているパワーモジュールの安定的な供給体制を構築することを目的とし生産拠点拡大を実施することを決めたとする。
また、万が一の障害や自然災害などのリスクも考慮したBCPの観点からも複数拠点化を推進するという側面もあるとする。同社の本社工場がある岩手県一関市と大分県に生産ラインを構えることで、災害や部品供給のひっ迫が発生した際なども相互の生産移管を可能とすることで、事業の継続性を確保することができるとしている。
FGELは先行製品との性能合わせ込みや、基板を変えずにモジュールの入れ替えのみで仕様の変更に対応するセミカスタム化を推進していくことで、家電や産業機器分野をターゲットに拡販を進めていく方針を示しており、新生産ラインでも主に、家電や産業機器向けの中電力容量帯のパワーモジュールを扱うことを想定。月産6万台の生産台数を見込んでおり、2024年4月からの本格稼働を目指し、IGBT IPM(Intelligent Power Module)の量産試作・評価を推進中だという。また、岩手県のFGEL本社工場については、今後マザー工場としての機能を強化していくとのこと。
なおFGELでは、パワー半導体の需要拡大に対応するため今後もさらなる生産拠点の拡張を検討していくとするほか、富士通ゼネラルの空調機に搭載するパワーモジュールについても内製化を加速させていく予定だとしている。