沖縄県産の鶏の丸焼きを販売する世界のブエノチキンは、ファンへのアプローチ方法を工夫し、売り上げを伸ばしている。ロイヤルカスタマーには、優先サイトを設けたり、リピーター向け施策を強化することで愛されるサイト作りに注力している。なじみやすく、好まれやすい接客でファン拡大に努めている。
もともと沖縄に実店舗があり、2009年7月のECサイト開設当初の月商は5000円程度だった。2012年からECサイトの運営を本格化し、2014年にカートシステム「カラーミーショップ」を導入し、売り上げ拡大に拍車をかけた。
鶏の丸焼きはクリスマスシーズンによく売れる商品のため、訴求方法を工夫し、メルマガ、ブログ、SNSなどで発信した。ブログを日々更新しており、日常的な話題を紹介している。浅野ブエコ朝子社長の人生観や失敗談など、商品に関わらないことも積極的に発信している。
▲クリスマスシーズンによく売れる鶏の丸焼き
「年々、売り上げが伸びている要因は、リピーター施策にあると思う。2回目以降のリピーターには手書きの手紙を同梱している。ロイヤルカスタマーを大切にすることで、当社を好きになっていただいている。常連客のための優先サイトも開設しており、売り切れでも購入できるように整えている」(浅野社長)と話す。
商品を気に入ってくれた顧客は、友人などのためにギフトとして購入してくれるという。
深い付き合いをすることが重要で、顧客と仲良くなれることを大切にしている。県外の購入者が大半を占めており、旅行などで沖縄の実店舗に来てくれることもある。オンラインで丁寧なコミュニケーションを図っているため、来店時には友人のように接することができるという。
メールや手紙でのやり取りでは、親しみやすいような文章で浅野社長の面白さやテンションの高さを表現している。鶏の丸焼きを販売しているため、文章の途中で「トリ」と付けたり、沖縄の挨拶として、最初に「はいたい(こんにちはを意味する女性の言い方。男性ははいさい)」という言葉を入れている。
▲丸焼き専用ロースターで焼いている
「問い合わせの対応はテンションの高さを意識し、ブランドのイメージを定着させている。リピーターに手書きの手紙を同梱する際、沖縄ならではのお菓子を一緒に入れることもある。大手ではできない強みだ」(同)と言う。
オンライン上であっても仲良くなることで、顧客が来店した際に「知っている人がいる店」というイメージになってもらえるという。出張の際に毎回、来店してくれる人もいる。
今後は県外でポップアップを行うなど、顧客とリアルでの接点を持ちたい考えだ。ファンイベントのような形で温かさを感じてもらいたいという。リアルとECの双方で顧客接点を強化し、さらなる成長を狙う。