デロイト トーマツ グループは1月12日、半導体企業の集積が進む熊本県に「熊本半導体ビジネス室」を2024年3月に開設する予定であることを発表した。
世界の半導体市場は生成AIの需要拡大やビジネスの発展に伴い拡大していくことが見込まれており、2024年は前年比13.1%増という2桁のプラス成長が予測されている。また、半導体産業はグローバルでの供給体制が構築されるため、各国の政治情勢や地政学リスクの影響を受けやすい一方で、比較的リスクが低いとみられる日本の相対的優位性は高まっており、九州・熊本へ世界から投資が集まっている現状がある。国内外の企業による主な設備投資計画は2023年7月にはのべ65件、計2兆800億円に到達しており、九州で一体となった経済活動や地域振興策が進められている。
デロイト トーマツは、1997年にトーマツが熊本市にオフィスを設置して以降、地元顧客に対して会計監査を提供してきた。新たに開設される熊本半導体ビジネス室はこの従来拠点を一部改装し入居する予定で、「デロイト トーマツ リスクアドバイザリー」、「デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー」、「デロイト トーマツ コンサルティング」が連携して運営する予定だという。
具体的な事業としては、地域の半導体産業や関連分野の企業の業務推進、イノベーション支援、海外や国内からの進出企業におけるニーズごとの助言や実行支援を、ファイナンスやリスク管理、人材育成、DX化などの観点から行っていくほか、案件ごとに対してグループ内のコンサルタントやアナリスト、エンジニア、データサイエンティスト、サイバーセキュリティの専門家などと連携するモデルを構築していくとしている。
また、デロイト トーマツのほか法人や、海外のデロイトネットワークのテクノロジー・メディア・通信産業(TMT Industry)をはじめ、インダストリーごとの知見を組み合わせたサービスも展開していく方針を示しており、開設後は地元スタッフの採用も検討するという。
さらに、半導体産業の成長とDX化など地域の持続的発展を共に推進するには、産・官・学・金融が連携した取り組みが不可欠だとし、熊本半導体ビジネス室を核として、地元自治体や公共機関、教育機関といった地域のステークホルダーたちと連携した活動も推進していくともしている。
なお同社は、半導体産業および関連産業が成長することで、スマートシティ・DX化構想、自動車など半導体を使う側の産業発展、災害に強い盤石なインフラ整備、国際的な街づくり、安定的なエネルギー供給、人材育成など、各種産業から公共活動まで変化が起こることが期待されるとしている。