アマゾンジャパンでは、多くの中小企業の販売支援に取り組んでいる。中小企業のECでは、注文数の増加に伴い、在庫管理や梱包作業に関わる人材確保に課題を抱えている。そういった課題を解決するため、物流サービス「フルフィルメント by Amazon(FBA)」などを通じて、中小事業者の物流支援なども行っている。近年では、国内の販売事業者の販路拡大のため、海外販売の支援も強化しているという。セラーサービス事業本部カテゴリー事業本部長の露木一帆氏に、2023年を振り返ってもらうとともに、今後の展開についても話を聞いた。
<FBAの利用事業者の総売上高は20%増>
――販売事業者についての取り組みについて教えてほしい。
当社では、多くの中小企業を含む、約14万社の販売事業者の事業成長のサポートに取り組んできた。
中小企業の多くは、人的資源や経済資源の有効活用について、常に課題を持っている。そのため、ECの活用で販路を広げ、事業を拡大したいと考えている。
日本各地の販売事業者がアマゾンで販売することにより、販路は日本全国、海外に拡大している。最新の数字では、日本の販売事業者はアマゾンで数億点の商品を販売し、平均売上高は1200万円超だった。前年比で20%以上増加したことになる。
中小企業では注文が増えるにつれ、自社倉庫での在庫管理や梱包作業に関わる人材の確保に課題を抱える。そこで当社では、販売事業者の商品の保管、受注、梱包、配送、カスタマーサービスを代行する「FBA」で、事業者の物流を支援してきた。
FBAを利用した、日本の販売事業者数は約8万社で、これらの販売事業者の総売上高は、前年比で約20%増加している。
<海外では和食文化人気も>
――海外販売の支援について教えてほしい。
日本の販売事業者の販路拡大を支援するため、さまざまなサービスを提供してきた。さきほどの「FBA」は、海外でも利用できる。
20年には、専属チームによる日本語での海外販売支援サービスを開始した。米国の「Amazon.com」での出品アカウントの作成や商品登録のサポートのほか、海外送金や海外輸送などに関する外部サービスのご紹介も行っている。
日本のマーケットプレイスで出品アカウントを作成・登録すれば、同じ出品アカウントで他の国のマーケットプレイスでも簡単に販売ができる、「Global Registration(グローバル登録)」という機能も提供している。
2021年から、JETRO(ジェトロ、独立行政法人日本貿易振興機構)と共同で始めた、中小企業を含む日本企業の海外販売の支援を行うプログラム「JAPAN STORE(ジャパンストア)」も、越境EC支援の取り組みの一つだ。2022年には、米国に加えて英国でも、ジャパンストアを開始した。
日本各地の販売事業者の海外での商品販売およびマーケティング活動をサポートしている。
2022年からは、日本を含む複数の国のマーケットプレイスで商品を一括登録できる機能の提供も開始した。出品商品の情報は、自動翻訳機能により各国の言語に翻訳され、アマゾンのサイトに表示されるようになった。
米国のジャパンストアでは、日本の販売事業者が、食料品のほか、キッチン用品、衣服、化粧品、PC関連機器など、数千種類の商品を販売している。
ジャパンストアにおいては、「食品」「ホーム」「キッチン」「ビューティー」などのカテゴリーが販売個数上位に含まれている。
こうしたカテゴリーの中の売れ筋商品には、だしや茶葉、納豆パウダーなど、和食文化を象徴する商品や、酒粕エキス、桜酵母を配合した美容液などがランクインしている。日本文化への関心の高さが伺えるラインアップとなっている。
――EC市場の発展に向け、今後取り組んでいくことは?
経産省のデータによると、現在の日本の物販系BtoC市場におけるEC化率はまだ1割にも満たない状況だ。アマゾンでは、日本市場はさらに成長すると考えており、2023年は1兆円以上を日本に投資した。
満足度の高いお買い物体験を提供することは、当社にとっての最優先事項だ。販売事業者に代わり、発明と投資を続けることにより、便利で革新的な、ツールやサービスの提供を通して、販売事業者の販路拡大を支援していきたい。