NTT Comなど、遠隔地で触覚情報と視覚情報を同期して伝送する触診実験に成功

NTTコミュニケーションズ（以下、NTT Com）は1月10日、「視て触れる」医療通信システムに関する技術を開発し、北海道大学病院・帯広厚生病院・函館中央病院の3拠点を結んだ遠隔視触診の実験に成功したことを発表した。

この実験は、北海道大学量子集積エレクトロニクス研究センターの池辺将之教授、北海道大学病院 / 大学院医学研究院の岩崎倫政教授、遠藤努特任助教、北海道大学大学院情報科学院修士課程野津綾人氏らの研究グループ、および、BIPROGY、テクノフェイス、慶應義塾大学、モーションリブ、AnchorZらと共同で実施したもの。

なお、今回の実験は新エネルギー・産業技術総合開発機構（NEDO）が推進するポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業において、先導研究テーマ「ポスト5Gに向けたマルチモーダル情報の効率的活用と触診・遠隔医療技術への応用」として採択されて実施したもの。

資格情報と触覚情報を同期させ転送

今回の実証実験は、遠隔医療の技術推進に向けて、触診向けセンシング機器および触覚情報の遠隔における再現機器と制御技術、また、5Gを活用した触覚情報と視診向けの高精細動画との連動技術を開発した。

医師がセンサーで取得した触診情報を動画フレームごとに埋め込むことで、触覚情報と動画内の時空間（触覚場）が同期してひも付けられ、触覚情報を含んだコンテンツのデータベースが作れるという。

これにより、視触診情報を他の医師へ共有できるようになるため、転院時の情報連携や医学生への教育にも活用できるようになる。また、視触診情報をリアルタイムに伝送することで、遠隔視触診の実現にも寄与する。

新技術の活用例

実験の結果

実験では、北海道大学病院・帯広厚生病院・函館中央病院を5Gで結び、上腕部のリアルタイム遠隔触診について確認した。触覚センシングと4K解像度の動画を統合した後に、遠隔地にて動画と紐づく触覚を再現したところ、骨部・筋肉・腱といった上腕部の各部位の触感再現と弁別、各部位の弛緩・緊張状態の弁別や逐次変化の確認が複数の医師によって行われたとのことだ。