TSMCが独ドレスデンに建設を予定している車載半導体ファウンドリのファブを運営する「Europe Semiconductor Manufacturing Compant(ESMC)」の社長に同じドイツのRobert Boschがドレスデンに有する半導体工場で工場長を務めるChristian Koitzsch(クリスティアン・コイチュ)氏が2024年1月に就任したことが明らかになった。同氏のLinkedInのプロフィールが更新されたことで判明した。
同氏は、Robert BoschのシニアVPを経て、2021年7月からBoschの半導体製造子会社であるRobert Bosch Semiconductor Manufacturing Dresdenの工場長を務めていた。
ESMCは、TSMC(所有権70%)、Bosch(同10%)、Infineon Technologies(同10%)、NXP Semiconductors(同10%)の4社による合弁企業で、2024年内にも建設工事を開始し、2027年末までに生産を開始する予定としている。
独政府は工場建設に対して最大50億ユーロの補助金を承認している。TSMCは、海外での工場建設の条件として、(1)現地顧客の需要、(2)現地政府から理にかなった補助金の2点をあげているが、ESMCは、当初から資本参加している欧州の大手車載半導体企業などが大口顧客となることが決まっている。
なお、TSMCが日本の熊本県に建設を進めている工場はTSMC、ソニー、デンソーの合弁会社「Japan Advanced Semiconductor Manufacturing(JASM)」という体制となっており、その社長にはソニーセミコンダクタマニュファクチャリング(熊本)から2022年1月に移籍した堀田祐一氏が就任している。このようにTSMCの海外工場では、合弁会社から工場建設や運営に経験豊富な現地経営者を選んでトップに据える方針のようだ。