Robert Bosch、Infineon Technologies、Nordic Semiconductor、NXP Semiconductorsの欧州半導体企業4社と米国のQualcomm Technologiesを併せた5社が共同出資の形で新たなRISC-V企業「Quintauris」を独ミュンヘンに設立したことが2023年12月末に明らかにされた。実際には、2023年8月時点で設立され、事業開始の準備が進められていた模様である。

新会社の狙いは、RISC-Vコアを使った半導体(SoC)を世界中に広めるため、そのリファレンスアーキテクチャをRISC-Vを採用する半導体メーカーに提供して、さまざまなRISC-Vチップの開発を促進することにあり、オープンソースであるRISC-Vアーキテクチャに基づく将来製品の商業化を加速することを目指すとしている。

Quintaurisによると、当初は自動車産業に焦点を当てるが、その後はモバイルおよびIoTにも対応する予定だという。また、RISC-Vハードウェアおよびソフトウェアエコシステムの標準化を推進することにも注力するとしている。

Quintaurisの社長兼CEOに就任したのは、自動車向けの組込系ソフトウエアベンダーであるElectrobitの社長兼CEOを務めていたAlexander Kocher氏が就任。同氏は、以前、リアルタイムOSなどのWindRiver社のVP兼自動車事業部門長を務めていたほか、それ以前はSiemensやInfineon、ティア1サプライヤーのContinentalなどにも勤務経験がある車載半導体業界のベテランである。

Kocher CEOは、「これはQuintaurisにとって、また私たちがサービスを提供する業界にとって非常にワクワクするチャンスである。私たちは、次世代のハードウェア開発に革新とスケーラビリティをもたらし、RISC-Vの最良の要素を商業的提案に組み合わせることに重点を置く。半導体業界の最も確立されたプレイヤー5社の支援を受けていることは、Quintaurisが長期的で持続可能な提案であることを示している。私たちはRISC-Vコミュニティとの協力の力を信じており、会社の規模を拡大するにつれて、エコシステムとの関わりを深め、より広範な半導体エコシステムのレジリエンスを高めるための開発を加速することを楽しみにしている」と述べている。

EUに誕生した新会社は、欧州の代表的車載半導体メーカーと組んで、自動車向けソフトウェア・デファインド・ビークル(SDV)に向けた車載コンピュータに使うRISC-Vコアでのグローバル覇権を狙っている模様である。