2024年の年頭にあたり、レッドハット 代表取締役社長の三浦美穂氏は年頭所感として、以下を発表した。
お客様の可能性を広げ、未来への一歩を踏み出すことができる企業アプリケーション開発のプラットフォーマーを目指す
新年明けましておめでとうございます。 旧年中は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
2023年7月1日付けで、レッドハット株式会社の代表取締役社長に就任しました。レッドハットでは、オープンなカルチャーというバトンを引き継ぎながら、当社が10年以上に渡り提唱してきたオープン・ハイブリッドクラウド戦略で日本のお客様のビジネスを加速させていきたいと強く思っています。
今、世界では地政学リスクの高まりや環境問題を背景に、不確実性の高い外部環境への対応に迫られています。また、日本では円安や物価高、人手不足が引き続き多くの企業にとって大きな課題となっています。
そんななか、生成系AIツールの急激な普及により人工知能(AI)が急速に身近な存在となり、AIや自動化を活用し人材不足を補う企業が増えています。レッドハットでも、AIモデルの開発から学習、デプロイまでを一つの基盤で行なえるRed Hat OpenShift AIを2023年5月に発表しました。
また、同月発表された新しい生成AIサービスRed Hat Ansible Lightspeed with IBM watsonx Code Assistantは、初心者ユーザーでもタスクの自動化をさらに容易に実行できる一方で、経験豊富なユーザーのタスク作成の負担を取り除くことを可能にし、組織全体でより一貫性のある正確な自動化の導入を促進します。
さらに、11月にはRed Hat Device Edgeの一般提供を発表しました。Red Hat Device Edgeは、IoT(モノのインターネット)ゲートウェイや産業用制御装置、スマートディスプレイ、POS端末、自動販売機、ロボットなど、リソースに制約のあるデバイス環境向けに設計されたコンテナOSです。Red Hat Ansible Automation PlatformもRed Hat Device Edgeに含まれるようになり、数百から数千に及ぶサイトやデバイスに対しても自動運用が行えるようになります。
一方、先進的なITテクノロジーを使いこなし、実際にビジネスに生かすにはデジタル施策としてのアジャイル開発が必要不可欠であり、オープン・ハイブリッドクラウドがプロセスと文化の変革を可能にする上で重要な役割を果たすと考えています。
当社は、ビジネスアジリティの加速を支援しデジタル・トランスフォーメーションを実現するため、コンサルティングサービスRed Hat Open Innovation Labsの拡大に注力してきました。昨年は、アジャイル支援のコミュニティ「Red Hat Open Innovation Labs アドバイザリー・ボード」を設立し、日本でのアジャイル開発の本格的な普及の促進を開始しました。
パートナー企業とのコラボレーションにおいては、オラクル社との協業を拡大。1月には、Oracle Cloud Infrastructure(OCI)でのRed Hat Enterprise Linuxの対応、9月にはRed Hat OpenShiftの対応を発表しました。さらに、SAPやHPEとの提携や、Cohesityとの戦略的協業の拡大を進めました。
2024年、レッドハットは日本でビジネスを開始して25周年を迎えます。これからは、国内企業においてもAI主導のビジネスモデルが確立し、業界を超えて技術イノベーションのペースが益々加速すると予想されます。この変化に対応するため、より一層提案の幅を広げ、より多くのお客様と対話し、お客様の課題をどのようにすれば解決できるかを考え抜き、企業アプリケーション開発のプラットフォーマーに徹することでその価値を届けるベく、レッドハットは下記の3領域に注力してまいります。
企業アプリケーション開発のプラットフォーマーとしての提案の幅を広げます
ハイブリッドクラウド全体で革新的なアプリケーションを構築、展開、保守するためのプラットフォームを提供してまいります。これには、Red Hat OpenShift AI が含まれており、使い慣れたアプリ開発や IT 運用戦略にAIワークフローを取り入れることができます。
また、セキュリティを強化したソフトウェアサプライチェーンを通じて、安心と信頼を構築できるプラットフォームの提案を強化します。さらに、Red Hat Device Edge や Red Hat Ansible Automation Platform の特長を活かし、オンプレミスからエッジデバイスに至るまで、柔軟で更新可能なプラットフォームを展開し、エンタープライズアプリケーションの枠を超えた提案を行い、お客様のビジネスが未来への一歩を踏み出すお手伝いをいたします。
コンサルティング力を武器に日本国内のイノベーションのさらなる発展に貢献します
ビジネスにアジリティをもたらすプロセスとカルチャー変革を支援するRed Hat Open Innovation Labsの取り組みをさらに発展させ、企業がアジャイルを全社規模でスケールさせるための支援に注力いたします。これにより、オープンハイブリッドクラウドをお客様にとってより意味のあるものとし、プラットフォーム、Linux、オートメーションテクノロジーから得られる価値を最大化します。
また、アジャイル支援のコミュニティ活動「Red Hat Open Innovation Labs アドバイザリー・ボード」をさらに発展させ、企業の経営層やアジャイルコミュニティ、業界団体にまでネットワークの幅を広げ、レッドハットのコンサルティングノウハウや経験をあらゆる分野の変革の取り組みと融合させることで、日本国内のイノベーションの活性化とさらなる発展に貢献してまいります。
エコシステムを通じて産業別ソリューションの力を一層強化します
各パートナーの専門知識を生かし、協業を深めることで、企業アプリケーション開発のプラットフォーマーとして提供できる価値を、これまでのエンタープライズシステム領域だけでなく、データ収集や分析などのソリューションにまで範囲を広げます。
特に、OpenShift AIとRed Hat Device Edgeを中心に、各産業に特化したソリューションの構築、その強化に取り組みます。この活動を通じて、お客様に多様な選択肢を与え、より効果的で革新的な解決策を提供することを目指します。
AIのビジネス活用が本格化する中、ビジネスの成長に向けた革新的なデジタル・トランスフォーメーションを実現するために、オープンソースや企業文化の変革へのニーズがこれまで以上に高まっています。レッドハットは、ハイブリッドクラウド・テクノロジーのリーダーとして、2024年もオープンソース・イノベーションでお客様やパートナー企業のビジネスの成長に貢献してまいります。
当社は多様性を尊重し、実力主義や透明性を重視するオープン・オーガニゼーションの理念に基づき、社員が自らの可能性を最大限に発揮できる革新的な企業であり続けるべく努力を続けてまいります。
本年も引き続きご指導、ご鞭撻を賜りますよう、宜しくお願い申し上げます。