2024年の年頭にあたり、フォーティネットジャパン 社長執行役員 与沢 和紀氏は年頭所感として、以下を発表した。
未来はサイバーセキュリティで変わる
謹んで新年のご挨拶を申し上げます。昨年7 月にフォーティネットジャパンの社長執行役員に就任して初めての新春を迎えました。旧年中のご厚情に深く感謝申し上げるとともに、本年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。
日本でも各組織のDX やコロナ禍でのBCP への真摯な取り組みを経て、本格的なクラウド活用時代に入りました。また、国家レベルでのアクティブサイバーディフェンスの第一歩に踏み込みつつあります。これに伴い、ネットワークとセキュリティはますます不可分一体の存在として複雑化し、中央省庁、自治体や教育機関、並びに企業の経営者やIT 部門の皆様の負担も飛躍的に増加することが予想されます。
フォーティネットは創業以来、「ネットワークとセキュリティの融合」をミッションに、機能やプロダクトの発展・統合を進めてきました。さらにグローバルで最大規模のアタックサーフェス 攻撃に晒される領域 の防御と到達する攻撃情報の分析を通して脅威インテリジェンスの蓄積と活用に努めてきています。
独自のセキュリティ専用のASIC チップ開発を活用したどこよりも高速で信頼性の高い機能提供を発展させ、また多様な脅威に対してエンドポイント、ゲートウェイ、クラウド並びにメール機能やWeb アクセス等の全ての攻撃トリガーへのポイントソリューション及び連携させた総合的な対応を実現しています。
昨今、社会の話題を席巻している生成AI が、本年、さまざまな分野で実用化が促進され、データセンターでの処理増大とネットワークトラフィック増大も一層の加速が予想される中、フォーティネットは、あらゆる場所に信頼できるサイバーセキュリティをお届けするため、引き続き尽力してまいります。
さて、クラウドシフトが一層強まったことで、本年特にみなさまにご留意いただきたい点をここに3つほど挙げてみます。
ひとつは各組織のDX本格化に伴い、多様なアプリケーションの開発をきわめて短期間のうちに要求されるようになり、DevOpsの開発サイクルの迅速化が図られ、ユーザーエクスペリエンスが急速に向上する一方、脆弱性が創出されるリスクも増大していることです。
国家の関与が疑われる事例をはじめ、脆弱性の検出、それを突く攻撃ツール・手法の確立、攻撃実行チームなど、組織化されかつステルス性を高めた攻撃者側が、CaaS(Cybercrime--as--a--Service: クラウド上で提供されるパッケージ化されたサイバー犯罪)による分業制や生成AIの普及により、巧妙な攻撃をかつてないほど簡単かつ広範囲に始められるボタンを手にしていることもこのリスクをさらに高めているとともに、攻撃成功までの時間が圧倒的に短縮されてきています。われわれ防御側は、如何に防御し、潜り抜けた脅威へ短時間で対処・無効化できるかがキーとなります。
次に、製造業などでは、これまで各工場等で閉じていた製造環境(OT)内の産業用機器とIT環境が接続され、結果としてネットワークとの接続ルートが確立したことにより、直接的な攻撃ターゲットとなってきており、いよいよOTセキュリティ対応が重要になってきていることが挙げられます。
なお、OTセキュリティは、製造業のみならず、これまで運用環境を別に組上げていたすべての重要インフラ産業(Critical Infrastructure Provider)にとって重要であることは言うまでもありません。自社環境のアセスメントから検知と対応までの総合的なプランニングの遂行が重要です。
さらに、サプライチェーンの事業ならびに情報流通の連結が単なるネットワーク接続だけでなくクラウドを経由し総合化されてきたことで、防衛の境界線が複雑化し、あるいは消失したことです。接続された全てのICT環境のうち、最も脆弱なポイントが狙われ、そこから元受けや発注元へと侵入する「サプライチェーン攻撃」によって、被害が大きく波及、拡大する事例が増加傾向にある点には引き続き注意が必要で、チェーンの頂点に位置する組織によるグローバル規模でのサイバーセキュリティガバナンスの徹底が重要となってきています。
もちろん、こうした攻撃側の巧妙迅速化やAI用に対し、防御側も日々高度な進化をとげています。ビジネスにも明るい兆しの見える新たな年を迎え、脅威があるからとDXや革新的なビジネス展開をためらうようなことがあってはなりません。国家等によるアクティブなサイバーディフェンスは、逆に一層のサイバー攻撃を誘発することにもつながりかねず、産学官全体での準備が重要です。
フォーティネットは、現在でも世界中の約5割のアタックサーフェスや70万社以上の組織のセキュリティを強固に守るというミッションのもと、そこからリアルタイムで収集された膨大なインテリジェンスや既に10年以上にわたるAIの知見と技術も蓄積されています。ゲートウェイというポイントソリューションのみならず、全方位で運用の効率化へも寄与した総合ソリューションを提供してまいりますし、本年もさまざまな変化や脅威にお客様が安心してビジネスを展開、拡張して頂けるよう、お客様との直接の対話をより精力的に進めながら、強力に支援してまいります。
本年も一層のご指導・ご鞭撻を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。