インターネット革命の後半の主役は生成AI
─ DX化はどんどん進みます。GMOインターネットグループ代表の熊谷正寿さん、今後のインターネットの進化をどのように考えていますか。
熊谷 われわれは約30年前にインターネットと巡り会い、今の会社を興しました。当時は誰もインターネットが産業革命なんて信じてくれなくて、孤軍奮闘していた雰囲気がありました。しかし、振り返ってみると、やはり予想は当たっていて、インターネットが産業革命であることは間違いありません。
過去の歴史を見ると、産業革命は平均すると55年続いておりますので、そういう意味では、ちょうど去年の22年が折り返し地点です。当社がインターネット事業に本格参入したのは「Windows95」が出てきたのと同じ1995年でした。55年割る2は27.5ですから、95年から数えると2022年の半ばがまさに折り返し地点ということですね。
─ インターネットの折り返し地点で、上場子会社9社(本体を含めて全10社)を抱えるグループに成長したわけですね。
熊谷 ええ。われわれの精神安定剤は成長し続けることであり、ベンチャーにとっては成長が唯一の癒しです。ですから、われわれにとって、成長が止まることが一番つらくて、成長していることが一番の癒しであり、次なるモチベーションのエネルギーになる燃料なんですね。だからこそ、成長あるべきだと思っています。
そして、インターネット革命の後半の主役は生成AI(人工知能)です。われわれは「AI活用No.1企業グループ」になるという目標を掲げていまして、パートナー(従業員)のAIに関する知識をさらに深めながら、AIを活用した各種プロダクトの開発をさらに促進していきたいと考えています。
─ 最近は「チャットGPT」に代表される生成AIが社会に浸透していますが、人と生成AIとの向き合い方をどのように考えていますか。
熊谷 インターネットは人々の格差を縮めるツールでした。しかし、AIはいわばデータの蓄積ですから、レベルの低い質問をしてもレベルの低い回答しかよこしません。きちんとした質問をすれば、優秀な回答を瞬時に戻してくれるわけです。
これが何を意味しているかというと、AIは人の格差が広がるツールだということです。言ってみれば、サルと人間くらい格差がつくツールです。AIで格差が拡大し、人の能力の格差が広がると、ゆくゆくは収入格差になります。だから、AIは使い方を間違えると非常に怖い存在でもあると思います。